におい物質による放牧家畜の採食制御

タイトル におい物質による放牧家畜の採食制御
担当機関 草地試験場
研究期間 1993~1995
研究担当者 安藤 哲
塩谷 繁
大槻和夫
栂村恭子
落合一彦
発行年度 1998
要約 草地への糞臭散布によって放牧家畜の採食は抑制され、穀類のエーテル抽出物の散布によって採食が促進される。抑制および促進の程度は、におい物質の散布量、放牧地の草量、草質の影響を受けた。
背景・ねらい 放牧家畜の選択採食を制御するため、糞や飼料に含まれ放牧家畜の飼料選択に関与すると考えられる分画を用いて、放牧家畜の採食行動を制御できるか検討した。
成果の内容・特徴
  1. 糞臭による採食抑制
     ①採食抑制物質には、牛糞のエーテル抽出物中の嗜好性を低下させる分画を用いた。散布量は、1m2当たり乾燥牛糞30gからの抽出量とした。箱栽培のペレニアルライグラス(PR)での羊3頭に対する採食抑制効果は、散布直後は極めて強く、日数の経過とともに弱くなった(図1)。また、7頭の牛が放牧された草地においても、散布直後の糞臭の採食抑制効果は著しかった(表1)。
    ②7頭よりなる牛群が放牧されたPR主体草地の草丈が低く嗜好性の高い地点(平均20cm)と草丈が高く嗜好性の低い地点(34cm)における糞臭散布は、草丈の高低にかかわらず抑制効果が現れた。草地の草量が減少した場合、あるいは草丈が低く嗜好性が高い場合は、抑制効果が小さくなった(図2)。また、散布濃度によって、抑制効果の差が見られた(図3)。
  2. 穀類飼料抽出物による採食促進
     ①PR主体草地の入牧1日後の不食地(平均草丈28cm)において、4種類の穀類飼料のエーテル抽出物の7頭の牛群に対する採食促進効果を調査した。散布量は、1m2当たり飼料20gからの抽出量とした。処理後1日間の草丈の変化から、いずれも採食を促進する傾向がみられた(図4)。
     ②入牧直前と1日経過後のPR主体草地の不食地において、7頭よりなる牛群に対する配合飼料抽出物の採食促進効果を調査した。処理後3時間の草丈の変化から、入牧直後は促進効果が小さく、草量の減少時では高まる傾向がみられた(図5)。
    以上から、放牧家畜の選択採食に対するにおい物質の効果は、草量や草質の影響が大きく、採食抑制効果は、良質の草が多量にある場合は大きく、草量が少なく草質が低い場合には小さく、促進効果は逆の傾向にあると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 採食制御効果の大きい物質を用いれば、選択採食の減少による利用率の向上、採食抑制による樹木の保護等の放牧管理に活用できる。
  2. におい物質の採食制御効果は、放牧家畜のにおい物質に対する慣れによる影響等を受ける可能性がある。
図表1 224943-1.JPG
図表2 224943-2.JPG
図表3 224943-3.JPG
図表4 224943-4.JPG
図表5 224943-5.JPG
図表6 224943-6.JPG
カテゴリ 乾燥

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