タイトル |
飲水場を利用した放牧牛用薬液自動塗布装置 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
伊吹俊彦(生研機構)
加茂幹男
梅田直円
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発行年度 |
1998 |
要約 |
放牧牛が一日に数回飲水する習性を利用して、飲水場へ進入した牛に薬液を自動塗布する薬液塗布装置である。本装置は、進入した牛を識別して塗布適期を判断し、測定した体重から適正な薬液量を算出して、背線上に薬液を塗布する。
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背景・ねらい |
放牧地でのダニの防除には、背線上に薬液を塗布するプアオン法が多く利用されている。この薬剤の塗布には、3~4週間毎に牛を集める必要があり、多大な労力を要する。そこで、放牧牛が一日に数回飲水する習性を利用した省力的な薬液塗布技術を検討する。
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成果の内容・特徴 |
放牧牛が一日に数回飲水する習性を利用して、飲水場へ進入した牛の塗布適期の判断と適正な薬液量を算出し、薬液を塗布する薬液自動塗布装置を開発した。
- 薬液自動塗布装置を図1に示す。本装置は、個体識別アンテナ、体重計、牛を入口で個体毎に分離し左右の出口へ誘導する分離扉、前後上下に移動し薬液を塗布する塗布ノズル、ノズル位置を制御する光電センサ等から構成されている。個体識別は、牛に装着した電子耳標で行う。光電センサは、腰部の上方15cmまで下降し、後方へ移動して尾端位置を検出する。また、体重計床面幅を35cmに狭め、中心に幅10cm高さ10cmの仕切板を設置し立位位置を規制した。
- 塗布工程のフローチャートを図2に示す。塗布適期は、前回の塗布日からの経過日数から判断し、塗布量は、測定体重から算出する。ノズルの塗布速度は、薬液の吐出量と薬液量から算出した吐出時間と尾端から肩部までの距離から算出する。
- 12~17カ月齢の黒毛和種4頭(体高1058~1172mm、体長1090~1296mm、体重200~280kg)に薬液を塗布した場合の所要時間は、腰部検出に約5~1.5秒、尾端位置検出に約3~4秒、薬液吐出に約2~3秒、各動作間の待機時間6秒、合計約16~14.5秒である。飲水場に進入した牛の95%は、30秒以上飲水していることから適応性が高い。
- 立位位置を規制した結果、立位時の塗布ノズル動線と背線とのずれは約5cmとなり、尾端のセンシングと背線上への薬液塗布が可能になる。
- 薬液の吐出量は、液温35℃と10℃で約1.5倍の差があるが、液温と吐出量の関係との関係から適正な塗布量を算出できる(図3)。
- 扇形ノズルを利用すると、塗布高さ15cmの場合、塗布範囲は15cm程度で、風速1.5m/sまでは風の影響を受けない(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 薬液自動塗布装置を活用して、省力的な管理技術の検討が可能となる。
- 利用には馴致が必要である。また、塗布装置1台当たりの管理可能頭数などについて、別途検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
管理技術
センシング
防除
薬剤
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