タイトル |
エンドファイト感染したペレニアルライグラスの耐病性の向上 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
月星隆雄
菅原幸哉
大久保博人
島貫忠幸
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発行年度 |
1999 |
要約 |
エンドファイト感染株からトリホリン剤を用いて非感染株を作出する方法を開発した。ペレニアルライグラスはエンドファイト感染により数種の病原菌に抵抗性が強くなり、耐病性の向上が認められた。
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背景・ねらい |
エンドファイト感染植物は耐虫性や耐乾性が向上するすることが知られているが、耐病性への影響については必ずしも明らかとなっていない。ここでは殺菌剤により感染株からエンドファイトを除去した非感染株を作出する方法を開発するとともに感染、非感染株間の比較から、エンドファイト感染が病害抵抗性へどのような影響を与えるか明らかにしようとした。
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成果の内容・特徴 |
- 感染株から非感染株の作出法(図1) 遺伝的背景が同一の供試試材料を得るために、感染株を株分けし、浸透性殺菌剤(トリホリン剤)の100倍溶液に15~24時間浸漬する。その後ポットに移植し、葉鞘裏面組織の表皮細胞の顕微鏡観察、植物組織からのエンドファイトの分離等によりエンドファイト非感染を確認する。
- 供試病原菌、接種法および抵抗性程度の判定
同一株由来のエンドファイト感染及び非感染ペレニアルライグラスの切離葉に各種病原菌を人工接種した。接種に用いた病原菌は、かさ枯病菌(Pseudomonas syringae pv. atropurpurea)、夏斑点病菌(Bipolaris sorokiniana)、網斑病菌(Drechslera dictyoides)、いもち病菌(Pyricularia oryzae)、株腐病菌(2核Rhizoctonia AG-D)、炭疽病菌(Colletotricum graminicola)、葉腐病菌(Rhizoctonia solani AG-1)である。 接種後、22℃、2日間湿室条件に保ち、その後陽光恒温器(15時間照明)内で病斑形成状況を観察した。
- 病害抵抗性への影響
夏斑点病、網斑病、葉腐病、いもち病では、エンドファイト感染葉は非感染葉に比べて、病斑数が少なく、病斑は小さくなりより抵抗性となった(図2、写真1)。これらのことからエンドファイト感染によりペレニアルライグラスは耐病性が向上した。かさ枯病、炭疽病、株腐病では明瞭な抵抗性への差は認められなかった。
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成果の活用面・留意点 |
- エンドファイトを感染させることにより、病害抵抗性を向上させることが期待できる。
- エンドファイト感染ペレニアルライグラスについて、アルカロイド産生の有無を検討 していない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
ICT
いもち病
炭疽病
抵抗性
病害抵抗性
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