搾乳ロボット乳頭毎に搾り方を制御するシステム

タイトル 搾乳ロボット乳頭毎に搾り方を制御するシステム
担当機関 畜産試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者 池口厚男
長谷川三喜
本田善文
発行年度 1999
要約 搾乳ロボットにおいて、高い拍動比で搾乳を開始し、流量が低下した乳頭から順次拍動比を逓減する拍動制御システム。これにより、搾乳時間が短縮され、搾乳後半における乳頭への負荷が少なくなり、搾り残しが抑えられる。
背景・ねらい 搾乳ロボットの高能率化による適応頭数の拡大をねらいとして、既存のミルカーよりも高い拍動比を採用して搾乳時間を短縮する一方で、搾乳後半での過搾乳を抑制して乳頭への負荷を低減する拍動制御システムを開発する。
成果の内容・特徴
  1. 開発したシステムでは電磁パルセータで乳頭(分房)毎に拍動比を制御している。その制御方法は、既存の搾乳ロボットより高い拍動比で搾乳を開始し、流量が低下した乳頭から順次拍動比を逓減して、最後の乳頭の流量が低下した時に全てのティートカップを同時に離脱する。なお、牛乳の流れはミルクチューブに装着した光透過型センサで乳頭毎に検知している。
  2. 既存の搾乳ロボットでは、左右あるいは前後2本の乳頭毎に吸引と休止を交互に繰り返しており、拍動比を50:50以上に高めると4本の乳頭から同時に吸引する時期が生じる(図1)。
     そのため、合乳後のミルクホースでの圧力変動が大きくなり、乳頭端での圧力変動も大きくなると推測される。本システムでは牛乳の流れを平準化するために4乳頭等間隔指動(吸引期を1/4周期ずつずらした拍動)としており、真空圧を既存の前後交互拍動と同等に維持しながら、合乳後のミルクホースにおける圧力変動が小さく抑えられる特徴がある(図2)。
  3. 5頭の牛を搾乳した事例では、拍動比を60:40から75:25に高めることで、個体差はあるものの、搾乳時間を平均で13%短縮できた(表1)。これにより、6.5頭/h程度の搾乳ロボットの能率(表2)が7.1頭/hに向上すると推測される。
  4. 前述の事例では、最後に流量低下を判断した乳頭と他の乳頭間での時間差は16~253s、平均100sであった。本システムではこの間、拍動比を20:80に緩和しており、1乳頭当たりの総吸引時間が既存の搾乳ロボットより平均で約10%短縮され、乳頭への負荷が軽減される。
  5. 分房別離脱では、離脱したティートカップからの異物混入、カップ上面での乳頭端の汚染、再泌乳に起因する搾り残し、等が懸念されるが、本システムでは同時離脱としており、これらを防ぐことができる。
成果の活用面・留意点
  1. 搾乳ロボット1台当たりの適応頭数増大が期待できる。
  2. 搾乳時間の短縮が搾乳効率に及ぼす影響については、搾乳ロボットにおける飼養管理方式との関連での検討が必要である。また、乳量、乳質へ及ぼす影響について実証的試験で検討する必要がある。
図表1 224986-1.jpg
図表2 224986-2.jpg
図表3 224986-3.jpg
図表4 224986-4.jpg
カテゴリ 飼育技術 ロボット

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