タイトル |
放牧牛の糞中種子を利用した傾斜ススキ型草地へのシバ導入の可能性 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
井出保行
高橋佳孝
佐藤節郎
斎藤誠司
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発行年度 |
1999 |
要約 |
傾斜ススキ型草地で放牧牛の排糞を利用したシバ種子の散布を行う場合,その効果は相対的に糞の落下量が多く,シバの出芽に影響を及ぼすススキの被覆率が小さい緩傾斜地ほど期待できる。
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背景・ねらい |
シバ草地の保全的造成法の一つとして,放牧牛の糞中種子を利用した種子散布が考えられている。しかし,傾斜地では放牧圧(採食・踏圧・排糞)の分布が地形の影響で不均一となるため,その効果は地形によって一様ではないと考えられる。その実態を傾斜ススキ型草地において検討する。
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成果の内容・特徴 |
ススキ群落内でのシバ出芽試験は,傾斜の異なる5m×5mの方形区(図1)で実施した。試験期間は6月25日~7月24日で,その際にシバ種子50粒を播種したポットを各方形区内の牛道を除く4地点に埋設した。さらに,各方形区内におけるススキの被覆面積と草丈,糞の面積,牛道の面積を測定した。いずれの調査も放牧条件下で実施した。
- ススキの株数および基底部合計面積は,斜面傾斜角の増加に伴って高まるものの,牛道の発達が顕著となる斜面傾斜角16゜付近を境に再び低下する(図1)。
- シバの出芽率は,ススキの被覆率および草丈との関係において,前者と有意な負の相関関係( p<0.05 )にある(表1)。
- 3.シバの定着可能面積は斜面傾斜角の増加に伴って急激に小さくなる傾向にあり,侵入種子量を規制する糞の落下量も斜面傾斜角の増加に伴って急激に少なくなる傾向にある(図1,表2)。
- 以上より,放牧牛の糞中種子を利用したシバ種子の散布効果は,糞の落下量が多く,シバの定着可能面積が大きい緩傾斜地ほど期待できる。さらに,その地点はススキの被覆率が相対的に小さくなることから,シバ種子の出芽に対しても好適な条件下にある。
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成果の活用面・留意点 |
- 放牧牛の糞中種子を利用した傾斜地へのシバ導入のための基礎資料となる。
- 植生のタイプがススキ型草地とは異なる場合は,別途検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
傾斜地
播種
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