タイトル |
土壌への有機物供給能力からみた農牧輪換システムへの導入優良イネ草種 |
担当機関 |
国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
菅野 勉
Manuel C. Macedo
Valeria P.B.Euclides (ブラジル農牧研究公社)
|
発行年度 |
1999 |
要約 |
土壌への有機物の供給能力という観点からブラジルサバンナのオキシソル(暗赤色ラトソル土壌)地帯におけるイネ科牧草5種のバイオマスを比較したところ地下部バイオマスはBrachiaria brizanthaが最も多く、農牧輪換システムへの導入に適した草種である。
|
背景・ねらい |
現在、南米の亜熱帯地域では牧草地と農耕地を相互に輪換することにより、地上部は放牧に利用しつつ、作物の連作によって損耗した耕地土壌中の有機物を回復させようとする農牧輪換システム(アグロパストラルシステム)の開発が進められている。そこで本研究では、主要牧草の地下部バイオマスを比較し、土壌への有機物供給能力という観点から農牧輪換システムの導入に適した草種を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- ブラジル・マットグロッソドスル州において少肥条件下(造成時に化成肥料でN-P2O5-K2Oを0-80-80kg/ha施用)及び多肥条件下(同0-160-160kg/ha施用)で造成された5種の草地〔Brachiaria decumbens (BD), B. brizantha (BB), Panicum maximum 品種Tanzania (TA), P. maximum品種Tobiata (TO)及びAndropogon gayanus(AN)〕において造成3年目に地上部及びリター並びに地下部0-10cm、10-20cm、20-40cmの乾物重を測定した。その結果、各草種の地下部バイオマスは全植物体バイオマスの53-76%を占め、輪作体系下では重要な有機物供給源となる(図1)。
- 両施肥条件下ともに各草種の地上部バイオマス量の差は顕著でなかったが、地下部バイオマス量はBB>BD>TA>TO>ANの順であり、 BBの地下部バイオマスが他草種に比較して有意に大きく、特にこの傾向は多肥区において顕著である(表1)。
- 地下部バイオマスは下層にいくにしたがって減少したが、どの層においてもBBの地下部バイオマスが他の草種を上回る(表2)。
- 以上の結果から、土壌への有機物供給能力は供試草種の中ではBBが最も高く、この観点からは農牧輪換システムの導入にはBBがよい。
|
成果の活用面・留意点 |
- 農牧輪換システムに導入する草種選定の判断基準となる。
- オキシソル以外の土壌条件下では、違った傾向が予想される。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
カテゴリ |
肥料
亜熱帯
しそ
施肥
品種
輪作体系
|