ハエの付着した放牧牛は,アブに対する追い払い行動をより頻繁に行う

タイトル ハエの付着した放牧牛は,アブに対する追い払い行動をより頻繁に行う
担当機関 草地試験場
研究期間
研究担当者 森本信生
白石昭彦(東北農試)
発行年度 1999
要約 放牧牛はアブの飛来をうけると,それに対して脚を蹴り上げるなどの追いい行動を示す。ハエ類が多数付着していると牛はより敏感にアブの飛来に対して反することから,ハエ類の付着により牛のストレスレベルは上昇すると考えられる。
背景・ねらい 放牧地において,牛は,アブやハエ等,一時的に牛の体に付着し吸血などを行うタイプの害虫の寄生をうける。すると牛は,それらの害虫に対してを追い払い行動をする。その結果,牛は,ストレスをうけ,落ち着きを失ったり,採食や休息行動などが阻害される。
 そこで,アブやハエ類によって引き起こされる牛の忌避行動を指標とし,これらの害虫が牛に与えるストレスの強さを推定した。
成果の内容・特徴
  1. 牛は,アブが体に止まると忌避行動が増加する。フタスジアブやニッポンシロフアブなどの飛来回数との相関は,脚を動かす行動がもっとも高かった(表1)
  2. アブの飛来した回数(X)と,牛の脚の蹴り上げ回数(Y)の関係は,ハエ類が牛に全く付着していない場合,Y=0.66X+0.27(R=0.74)の回帰式で示された(図1)。
  3. 一方,ハエ類が,多数付着している条件(ノイエバエ10以上,ノサシバエ60以上)の場合は,Y=1.5X+2.4(R=0.95)の回帰式で示され,5%水準で,図1の回帰式の傾きと有意の差があった(図2)。
  4. 以上の結果より,牛はフタスジアブなどが飛来すると,それに対して,脚を蹴り上げるという忌避行動が盛んになる。また,同じようにアブの飛来を受けた場合,牛の体に付着しているハエ類の個体数が多い場合は,より脚上げ行動が頻繁になることが示された。
  5. 上記のことより,ハエ類の付着により,牛の忌避行動は変化することより,ストレスレベルは上昇している可能性が示された。
成果の活用面・留意点
  1. アブ・ハエ類が牛に与えるストレス推定の基礎資料となる。
  2. 今回の結果は,ニッポンシロフアブやフタスジアブに対する忌避行動を調査したものであり,牛に対する寄生習性の異なるアカウシアブなどでは,別個の検討を要する。
図表1 225009-1.jpg
図表2 225009-2.jpg
図表3 225009-3.jpg
カテゴリ 害虫

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる