乳牛用飼料に適した飼料イネ「関東飼206号」のロールベールサイレージ

タイトル 乳牛用飼料に適した飼料イネ「関東飼206号」のロールベールサイレージ
担当機関 草地試験場
研究期間 2000~2001
研究担当者 M. R. イスラム
安藤 貞
吉田宣夫(埼玉県農総セ畜産支所)
坂井 真(農研センター)
西田武弘
石田元彦
発行年度 2000
要約 飼料イネ「関東飼206号」のホールクロップロールベールサイレージを給与した泌乳牛の消化率,乳量,乳成分および粗飼料価指数は輸入チモシー乾草に匹敵する。
背景・ねらい
 水田機能の維持と飼料自給率の向上をねらいとして,飼料専用種のイネを栽培し,ホールクロップサイレージに調製し,牛用飼料として利用する普及事業と研究が進められている。飼料イネのロールベールサイレージは埼玉県で10年間以上も酪農家に利用されており,乳牛の飼料として有望である。一方,農業研究センターが育成した飼料専用の水稲系統,「関東飼206号」は乾物収量が1.9トン/10aに達する多収系統であり,倒伏,病害にも強いという特徴をもつ。そこで,「関東飼206号」の乳牛用飼料としての価値を検討する。
成果の内容・特徴  黄熟期に刈取り,予乾してからホールクロップロールベールサイレージに調製した「関東飼206号」を供試した。同じ種類の濃厚飼料を用いて,「関東飼206号」と輸入チモシー乾草のそれぞれを飼料乾物の40%配合した2種類の飼料を給与する2区を設け,各区に泌乳牛を2頭ずつ割り当てて,馴致期,予備期,本試験期がそれぞれ7日間の泌乳試験を実施し,消化率,乳量,乳成分組成および咀嚼時間を測定,比較した。
  1. 「関東飼206号」サイレージは開花中後期のチモシー乾草と比べて,粗蛋白質はほぼ同じであるが,可溶性炭水化物が多く,繊維が少ない(表1)。
  2. 「関東飼206号」サイレージを与えた乳牛の消化率と乳量はチモシー乾草を与えた場合と変わらない(表2)。
  3. 「関東飼206号」サイレージを給与しても,乳成分組成はチモシー乾草を与えた場合と同等またはむしろ良好である(図1)。
  4. 飼料乾物1kg摂取あたりの咀嚼時間で示される粗飼料価指数は「関東飼206号」サイレージとチモシー乾草とで変わらない(図2)。
  5. 以上のことから,「関東飼206号」サイレージの乳牛用飼料としての価値は酪農家の庭先でよくみかける開花中後期に収穫された輸入チモシー乾草に匹敵する。
  1. 「関東飼206号」サイレージを乳牛に給与するうえでの指針として活用できる。
成果の活用面・留意点
  1. 「関東飼206号」サイレージを乳牛に給与するうえでの指針として活用できる。
  2. 飼料イネサイレージの飼料価値はサイレージ発酵品質によって変わるので,水分を65%以下にする等の留意点を守って,良質サイレージを調製することが重要である。

カテゴリ 水田 乳牛

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