北海道和種馬の放牧があやめヶ原における草原植物の種組成に及ぼす影響

タイトル 北海道和種馬の放牧があやめヶ原における草原植物の種組成に及ぼす影響
担当機関 草地試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 佐々木寛幸
小路 敦
神山和則
林 治雄
発行年度 2000
要約 北海道厚岸町あやめヶ原における北海道和種馬の放牧は、草原性植物の生育に好適な土壌環境の創出を通じて、草原植生の維持に貢献している。
背景・ねらい
 北海道東部の厚岸町あやめヶ原では、北海道和種馬(ドサンコ)の放牧により、ヒオウギアヤメ群落に代表される美しい草本植物が咲き乱れる草原景観が維持されてきた。しかし、近年、放牧頭数の減少によって、この草原景観の維持が危惧されている。そこで、あやめヶ原の草原景観を維持する基礎資料を得るため、ウマの放牧が、さまざまな環境要因を通じて草原性植物の種組成に及ぼしている効果を解析する。
成果の内容・特徴
  1. 草原における植物の多様性を示す最も簡単な指標である平均出現種数は、昼夜放牧区>夜間放牧区>禁牧区の順であり、土壌環境要因の飽和透水係数と重力排水後の気相率の値は、昼夜放牧区夜間放牧区禁牧区の順であった(表1)。一方、光環境やその他の土壌環境には、放牧形態による差は認められない。これらのことから、放牧は草原植物の多様性を増大させ、土壌を湿潤な状態に維持すると考えられる。
  2. ヒオウギアヤメをはじめ、あやめヶ原を美しく彩るいくつかの草原性植物は、放牧によって出現の確率が高められる(表2)。また、多変量解析の一種である正準対応分析の結果(図1)から、昼夜放牧区と禁牧区とでは種組成・環境要因ともに大きく異なり、放牧圧の上昇は草原性植物の出現種数の増加に大きく貢献し、土壌の通気性(重力排水後の気相率)や群落高の増大は、出現種数を減少させると解釈される。
  3. 以上のことから、あやめヶ原の草原景観は、ウマの放牧によって土壌が踏まれ、湿潤な状態に保たれることによって維持され、放牧の衰退は、土壌環境の変化を伴う草原性植物の出現種数の急速な減少と種組成の変化を招くと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. あやめヶ原における植生管理の参考となる。

図表1 225063-1.png
カテゴリ 植生管理 土壌環境

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