チモシー優占草地からケンタッキーブルーグラス優占草地への誘導法

タイトル チモシー優占草地からケンタッキーブルーグラス優占草地への誘導法
担当機関 北海道農業試験場
研究期間 2000~2003
研究担当者 高橋俊
三枝俊哉
手島茂樹
小川恭男
発行年度 2000
要約 ケンタッキーブルーグラス(KB)優占草地を成立させる技術として、チモシー・KB混播草地を放牧しながらKB優占草地に誘導する方法を提示する。10cm程度の短い草丈で放牧する方法により造成後数年間でKB優占草地に誘導できる。また、30cm前後の長い草丈で輪換放牧する方法により、誘導の速度を遅くすることができる。
背景・ねらい
 立地条件の不良な肉牛等の放牧草地における省力・低コスト管理には、永続性の高いケンタッキーブルーグラス(KB)の有効性が指摘されている。しかし、初期生育の遅いKB草地の造成には、雑草発生防止のための除草剤処理や播種翌年における放牧圧の軽減を要する。播種翌年に放牧圧の軽減を行うことなく、種子と除草剤に係る造成経費を低減しつつ、KB優占草地を成立させるため、最初にチモシー(TY)を主体とするKB混播草地を造成し、放牧しながらKB優占草地に誘導する利用方法を提案する。
成果の内容・特徴
  1. TY・KB混播草地からKB優占草地への誘導に適した放牧条件を明らかにするため、刈り取り時の草丈と刈り高の異なる多回刈り条件によってKB茎数の増大の程度を比較する。処理2年目までの結果では、低草高の定置放牧を想定した刈り取り管理(刈り取り時草丈10cm・刈り高5cm)でKBの茎数は最も速やかに増大し(図1a、図2 ○印)、長めの利用草丈とゆるやかな放牧強度による輪換放牧を想定した刈り取り管理(刈り取り時草丈30cm・刈り高10cm)がこれに次ぐ(図1c、図2▲印)。また、これらの場合にはTYの茎数密度も良好である(図2)。
  2. 農家と公共牧場のKBの混在したTY草地における被度調査の結果によれば、低草高の定置放牧条件では、造成後数年でKBが優占する。一方、長めの草丈による輪換放牧条件では、KBの優占にはさらに数年の期間を要する(図3)。この傾向は、上記の多回刈り条件で得られた傾向と同様である。
  3. 本誘導法の家畜生産性を評価するため、造成したTY・KB混播草地において、上記の定置放牧に準ずる利用草丈10cmを目安とした2牧区輪換放牧と利用草丈30cmの目安とした5-10牧区による輪換放牧を行うと、播種翌年の牧養力(延べ放牧頭数)およびヘクタール当たり増体量はいずれの放牧方法でも、最初から造成したKB・WC混播草地における播種翌年の水準を大きく上回り、同3-4年目の水準と同等またはそれ以上となる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 放牧草地の有効利用や造成コストの低減を重視した草地造成に活用できる。また、前植生の影響でKBが侵入したTY草地にも適用できる。
  2. 本法によるKB草地への移行には年数を要する。

図表1 225069-1.png
カテゴリ 病害虫 コスト 雑草 さやいんげん 除草剤 低コスト 肉牛 播種

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