放牧牛のルーメン内温度計測

タイトル 放牧牛のルーメン内温度計測
担当機関 草地試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 井村 毅
山田明央
須藤まどか
発行年度 2000
要約 放牧牛のルーメン内温度を測定する方法を開発した。本方法で測定された採食・飲水等の放牧地における行動変化に伴うルーメン内温度の変動は、飲水の影響が最も大きい。
背景・ねらい
 暑熱時における反芻家畜の行動的適応には、環境温度の上昇による熱収支の変化に加えルーメン微生物の発酵による熱産生が大きく影響しているものと考えられる。しかし、これまで放牧地での行動とそれに伴うルーメン内温度の変化を測定した報告はない。よって、本研究では放牧地でルーメン内温度変化を24時間以上連続測定できる方法を確立し採食行動の変化との相互関係を解明する。
成果の内容・特徴
  1. 温度測定には、サーミスタ付きデーターロガを用いる。フィスルテル蓋に穿った小 孔より鋼鉄線ガイドを用いて、半硬質ポリエチレンチューブ(外径
    7mm×50cm)をル ーメン内容中に挿入する。チューブ内へサーミスタを挿入後、フィステル外側の一端 を目止めし、外気がルーメン内に侵入しないように封をする(図1)。本方法により  1分間隔で24時間以上ルーメン内温度の測定が可能である。
  2. 測定対象とした 3頭のホルスタイン種去勢牛の放牧行動観察時間( 810)分中で、 平均採食時間は 274分、平均反芻時間は
    142分、その他は 394分である。飲水行動は  9時40分台と14時前後の 2回、いずれも採食行動を中断する形で 3頭計 5回である。
  3. 行動形別のルーメン内温度は、「採食」時には38.7℃であり、「反芻」時には38.8 ~38.9℃である(表1、図2)。飲水行動はルーメン内温度に大きく影響し、 1回の飲水で  2分以内に 6℃低下した後、約20分間で飲水前の水準に回復する。
成果の活用面・留意点
  1. 暑熱期の放牧行動に及ぼすルーメン内温度の影響評価に利用できる。
  2. データーロガ脱落防止策として、巾着袋様のものでフィステルごと覆うことが望ま しい。飲水器内水温は22-23℃であった。

図表1 225079-1.png
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