タイトル |
水質環境に対する負荷軽減技術としての水稲不耕起移植栽培 |
担当機関 |
秋田県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
肥効調節型肥料を用いた水稲不耕起移植栽培は,慣行代かき栽培より代かき水の落水や暗渠排水などからの懸濁物質,化学的酸素要求量,全窒素,全リンの環境負荷を軽減できる。
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背景・ねらい |
八郎潟干拓地のような閉鎖水系水田地帯においては,水稲移植時の代かき水や中干し以降の落水に伴ない,施肥成分に由来する窒素やリン等が農地からの汚濁負荷源の一つになっている。そのため,これらの環境負荷軽減技術の早期確立が望まれている。そこで,肥効調節型肥料を用いた水稲の育苗箱全量基肥施肥による不耕起移植栽培は施肥窒素を慣行に比べ節減できることと耕起・代かきを省略するため,環境負荷軽減技術として有望と考えられるので,これを検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 田面水中の懸濁物質(SS)及び全窒素(T-N)は,不耕起移植栽培により慣行代かき栽培より低くなる(表1)。慣行代かき栽培の移植時の落水に伴う汚濁負荷は大きいが,不耕起移植栽培ではこの時期の汚濁負荷は少ない。
- 中干し以降の暗渠排水中のT-N,電気伝導度(EC)は不耕起移植栽培で慣行代かき栽培より低い(表2)。さらに,暗渠排水負荷量は,SS,化学的酸素要求量(COD),T-N,全リン酸(T-P)とも不耕起移植栽培により少ない傾向となる(表3)。
- 不耕起移植栽培では,SS,COD,T-N,T-Pの環境負荷が軽減され,とくに,SSではその効果が著しく高い(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果はとくに,閉鎖水系水田地帯において,窒素やリン等の汚濁原因物質の環境負荷軽減技術として有効である。
- 不耕起栽培では,慣行代かき栽培より用水量が多くなることに留意する。また,不耕起移植栽培では従来のような強めの中干しは必要なく,暗渠を開放する期間が短くてよい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
育苗
水田
水稲
施肥
不耕起栽培
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