| タイトル |
放射性核種の土壌から白米への移行係数 |
| 担当機関 |
農業環境技術研究所 |
| 研究期間 |
1957~1997 |
| 研究担当者 |
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| 発行年度 |
1997 |
| 要約 |
ICP-MS法および放射能測定法により水田土壌と白米中のできるだけ多くの長半減期放射性核種の分析を行い,土壌から白米への移行係数を16元素(19核種)について検討した。人類の放射能対策上最も重要な核種とされている核爆発実験起源の人工放射性核種である90Srと137Csの移行係数は,90Sr(4.8×10-3)の方が137Cs(2.6×10-3)より約1.7倍高いことが示された。
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| 背景・ねらい |
白米は,日本人の主食として重要な位置を占めており,食料のなかで摂取量の最も多い食品である。したがって,各種天然及び人工放射性核種等(とくに核爆発実験により放出された90Srと137Cs)の土壌から白米への移行係数を算定することは,人体が受ける被ばくのリスク評価,あるいは,低線量放射線の人体に対する身体的・遺伝的影響解明などのために重要な基礎資料となる。
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| 成果の内容・特徴 |
- 全国13都道府県の水田圃場から1990年に集めた土壌と白米試料を対象に元素の分析を行い,長半減期放射性核種(図に*を付した元素と90Sr,137Cs)及び非放射性ではあるが90Srと同族元素のCa,Ba,とSrの移行係数を検討した。分析した元素のうち,40K,90Sr,137Csは放射能測定法により,その他の元素は高分析感度のICP-MS法による多元素同時分析を行った。なお,ここでの移行係数(transfer factor)は,白米中に含まれる元素濃度と,土壌中に含まれる元素濃度の比である。
- 人類の放射能対策上最も重要な核種とされている核爆発実験起源の人工放射性核種である 90Srと137Csの移行係数は,90Sr(4.8×10-3)の方が137Cs(2.6×10-3)より約1.7倍高いことが示された。人工起源の 90Sr,137Csと天然起源の安定な(非放射性)Sr,Cs間で移行係数に違いのあることが見いだされた。すなわち人工起源の90Srは天然起源のSrよりも約6倍高く,同様に人工起源の137Csは天然起源のCsよりも約4倍高いことが判明した。これまでは人工と天然起源でこの様な差異のあることは推定されていたがここで証明されたことになる。
- 類似の挙動を示すアルカリ金属元素ではK≧Rb>137Cs>Cs,同アルカリ土類元素ではCa≧90Sr>Sr≧Baの傾向が認められた。ランタノイド元素では極めて小さい値が示された。
- 主な元素の平均移行係数は,40K:1.0×10-1,Rb:3.3×10-2,137Cs:2.6×10-3,90Sr:4.8×10-3,Ba:5.0×10-4,La:1.5×10-4,Eu:5.8×10-4,Bi:2.2×10-4,Th:1.5×10-4,U:1.9×10-4 であった。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 水田土壌から白米への元素の移行係数を同一圃場レベルでこのように多くの元素を対象に同時に求めた研究事例はほとんどなく,これらの結果の一部は国連(IAEA)に報告され,また,原子力産業分野で引用されている。
- 移行係数は環境条件により異なるため世界的レベルの研究の蓄積が要求される。
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| 図表1 |
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| カテゴリ |
水田
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