タイトル |
化学資材による土壌中ダイオキシン類の分解 |
担当機関 |
(独)農業環境技術研究所 |
研究期間 |
2001~2002 |
研究担当者 |
清家伸康
大谷卓
牧野知之
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発行年度 |
2002 |
要約 |
酸化カルシウムを基材とする化学資材により土壌中のダイオキシン類を分解できる。ラジカル反応により,ダイオキシン類骨格のC-O結合が開裂し分解する。
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背景・ねらい |
農耕地土壌(水田,畑)中に残留しているダイオキシン類による農作物への汚染や土壌粒子等の流出に伴う農業生態系への汚染拡散を考えると,土壌中のダイオキシン類を可能な限り減らすことが重要である。本研究では,土壌中に高濃度に蓄積されたダイオキシン類を化学資材により分解・低減化する技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 酸化カルシウムを基材とする化学資材(三浦工業株式会社より提供)により,ダイオキシン標準物質,八塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(OCDD)が99%以上分解する。この際,7塩素化物以下の低塩素化物は検出されない。
- 本分解反応におけるOCDDの反応生成物は, 3,4,5,6-tetrachloro-1,2,-benzodiolである(図1)。
- 本分解反応では,反応の初期段階で大量のラジカル生成が確認される(図2)。上記1,2の結果と合わせて考察すると,本分解反応は,ラジカル反応によりダイオキシン骨格のC-O結合が開裂したものと考えられる。
- 水田土壌(黒ボク土,黄色土,灰色低地土)に対し化学資材を10%(重量比)以上添加するとダイオキシン類が5~25%分解する。分解率は土壌によって異なり,黒ボク土では低い(図3)。
- 化学資材を土壌重量に対し0.1%以上添加するとpHが急激に上昇し,1%を超えると11以上になる。1週間後,化学資材を1%添加した土壌のpHは8~9まで回復するが,10%添加した土壌ではpHの回復は見られない(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本資材により生成するラジカルにより,ダイオキシン類の分解が可能であり,ダイオキシン類以外にも様々な難分解性物質の処理技術として期待できる。
- 土壌pHが上昇するため,そのままでは農耕地への適用は難しいが,高濃度でダイオキシン類に汚染された土壌への適用は可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
水田
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