タイトル |
子実カドミウム蓄積性が高いダイズ品種は幼植物の段階で簡易に検定できる |
担当機関 |
(独)農業環境技術研究所 |
研究期間 |
2003~2003 |
研究担当者 |
阿江教治
羽鹿牧太(作物研)
杉山 恵
石川 覚
村上政治
|
発行年度 |
2003 |
要約 |
カドミウム汚染土壌を充填したポットで播種後3週間まで栽培したダイズ幼植物体中のカドミウム(Cd)と亜鉛(Zn)の濃度比から,子実Cd蓄積性が高い品種を簡易に検定できる。
|
背景・ねらい |
ダイズの子実へのカドミウム(Cd)蓄積性には品種間差があり,それは土壌,気候などの環境要因に影響されない遺伝的形質である。播種後4~5ヶ月の子実生産を待ってCd濃度を分析する現在の検定方法では,新品種育成に時間,労力,コストがかかる。大幅な時間,労力等の軽減を図り,有望品種のより飛躍的な選抜を進めるために,幼植物(播種後3週間程度)の段階でCd高蓄積品種・系統を簡易に検定する方法を開発する。
|
成果の内容・特徴 |
- ダイズ栽培品種および有望系統150品種をカドミウム汚染土壌を充填したポットで3週間栽培する(3週間は種子栄養から独立栄養に切り替わり,体内Cd濃度は土壌Cdの影響を大きく受ける時期である)。その幼植物体(地上部)のCd濃度により,子実Cd濃度が低い品種群Aグループと高い品種群Bグループとに分けられる。ただし,150品種中3品種の幼植物体Cd濃度は3.0~3.3ppmの範囲にあり,判別はできない(図1)。
- AグループとBグループの幼植物体Cd濃度は統計的に有意な差がある。一方,幼植物体の亜鉛(Zn),カルシウム,銅の濃度はグループ間に差はない。このグループ間差違はCdに特異的であり,Bグループは幼植物体の段階からすでにCdを選択的に吸収する品種である(表1)。
- 幼植物体Cd濃度の代わりに,CdとZnの濃度比を用いると,BグループをAグループから明確に分けることができる(図2)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 播種後3週間でダイズの子実へのCd蓄積性が高い品種を明瞭に検定できる新しい手法である。
- Cd汚染土壌を用いることで感度が低い原子吸光でも測定が可能である。土壌の種類によって幼植物体のCd/Zn(濃度比)が変化するため,検定の際にはAグループからエンレイなど,Bグループからスズユタカなど数品種を標準品種として同時に栽培に加える必要がある。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
カテゴリ |
遺伝的形質
コスト
新品種育成
大豆
播種
品種
|