渦相関法によるCO2フラックス計算用の実用的プログラム

タイトル 渦相関法によるCO2フラックス計算用の実用的プログラム
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 間野正美
宮田明
発行年度 2004
要約 渦相関法によるCO2フラックスの観測で得られる乱流生データを,パソコン上で事後処理するためのプログラムを提供する。座標軸回転,周波数補正,密度補正などの必要な処理・補正を施して計算されたフラックス値が,品質検査情報やランダム誤差とともに出力される。
背景・ねらい 渦相関法は,陸域生態系の炭素循環の解明を目的としたタワー観測ネットワーク(FLUXNET)で,CO2フラックス(単位土地面積当たり,単位時間当たりのCO2の放出・吸収量)の測定法として採用されているだけでなく,植生・土壌と大気間のCO2フラックスを測定する標準的な方法として,微気象学の周辺分野でも利用者が急増している。乱流生データの統計処理や,各種の補正,計算値に含まれる異常値の選別(品質管理)には,接地境界層の乱流輸送に関する専門知識が必要とされるが,公開されている処理プログラムは少なく,専門外の利用者のなかにはデータを正しく処理できない事例がみられる。そこで,FLUXNETの最新の研究成果を取り入れた乱流生データの処理法を,専門外の者でも利用可能なプログラムにまとめ,一般に提供する。
成果の内容・特徴
  1. 超音波風速温度計と赤外線ガス分析計から出力される乱流生データを処理して,CO2フラックスを計算するプログラムを開発した。本プログラムは,1)乱流生データの統計値や乱流理論にもとづく情報から異常値を選別する品質検査部,2)フラックス計算の前処理部,3)各種補正も含めた演算を行うフラックス計算部で構成される。トレンド除去,風速計の座標軸の回転,周波数補正のように,処理法が確定していない箇所については,ユーザが処理法を選択する。
  2. ユーザは,CSVファイル形式の乱流生データのほかに,処理法の指示,測器の設置状況や校正係数が入力されたファイル群(表1)を,指定のフォーマットに従って,事前に準備する。プログラムは実行ファイルとして提供されるので,MS-DOS上で実行できる。
  3. 本プログラムを実行後の出力として,乱流生データの各種統計量,品質検査情報,補正前後のフラックス値,フラックス値のランダム誤差などが,30分ごとにCSVファイル形式で出力される(表2)。ユーザは,品質検査情報やランダム誤差を参照することにより,計算で得られたフラックス値の信頼性や誤差の程度を判断でき,異常値を容易に除去して,実用的なフラックスのデータセットを作成できる(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 本プログラムの使用を希望される場合は,担当者に問い合わせられたい。希望者には,汎用プログラミング言語であるFORTRANで記述されたソースプログラムも提供可能である。
  2. 本プログラムでは,欠測値や異常値の補完は行われない。補完はユーザが独自に行う必要がある。
  3. 渦相関法によるデータ処理法は,現在でも研究が進行中である。今後も,最新の知見を取り入れながら,随時,本プログラムの修正・追加を行う予定である。
図表1 225419-1.png
図表2 225419-2.png
図表3 225419-3.png
カテゴリ 炭素循環 輸送

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