中規模河川における懸濁性水質サンプルの採取位置による濃度差は小さい

タイトル 中規模河川における懸濁性水質サンプルの採取位置による濃度差は小さい
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 坂西研二
佐々木由佳
神田健一
中島泰弘
発行年度 2005
要約 農業地域を流れる中規模河川において懸濁性水質サンプルを採水する場合、懸濁物質濃度は採水の深さによるばらつきはほとんどなく、河川横断方向においても、採水位置による濃度のばらつきは平均濃度値±15%の範囲にある。
キーワード 中規模河川、採水、懸濁物質濃度
背景・ねらい 大雨や豪雨による侵食や洪水、水田代かき時などに生じる農耕地から水系への懸濁物質(SS)の流出は、短期間に集中して生じる。このようなイベント時に集中的に発生するSSは流水中に不均一に分布している可能性が高く、通常の定期的モニタリング時の採取手法(断面における複数位置の採水とその混合)は、イベント時では適用できない可能性がある。そこで、農業地域を流れる中規模河川を対象に、降雨直後の濁水流出時の水文観測や断面分割採水によるSS濃度値を基に、濃度変動や平均値等のSS濃度特性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. つくば市を流れる桜川の上流から二本木橋、樺穂橋(図1)、塙世新橋、君島橋の4断面で観測を行った。川幅は9.0m~25.2mであり、水深は平時の0.4mから増水時の5mまで変化する(表1)。
  2. 河川断面の鉛直方向(水深を最大3分割)の採水において、表層と下層のSS濃度の関係はほぼ1:1であり、採水位置に関係なくほぼ均一に分布している(図2)。
  3. 同じ採水試料におけるTN及びTP濃度の表層と下層の関係は、SS濃度の場合よりもややばらつきが大きい(図2)。
  4. 川幅を横断方向に2m~4mに分割して採水し、岸からの距離とSS濃度値の関係を示した(図3)。この濁水の採水イベント毎の平均濃度値とそれに対する変動係数を求めると、変動係数の平均は10%で、ほとんどは15%以下である(図4)。横断面の任意の位置で採取した場合でもSS濃度値は、平均濃度値の±15%以内であると推定される。
  5. これらのことから、中規模河川における降雨後等のイベント時のSS濃度は、通常の採水方法、すなわち、複数位置から採水し混合した試料の測定値で代表させることができる。
成果の活用面・留意点
  1. 中規模河川における、採水装置の設置場所の選定に活用できる。
  2. ここでいう中規模河川とは、県が管理する1級河川で流域面積は100km2以上を想定している。
  3. 桜川における流速の測定範囲は、0.25~2.0m/sであり、上記成果の適用できる流速は0.25m/s以上である。
図表1 225428-1.jpg
図表2 225428-2.png
図表3 225428-3.png
図表4 225428-4.png
図表5 225428-5.png
図表6 225428-6.png
カテゴリ 水田 モニタリング

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