未来の水田生態系を予測する周年開放系温暖化実験システム

タイトル 未来の水田生態系を予測する周年開放系温暖化実験システム
研究期間
研究担当者 大気環境研究領域 吉本真由美
福岡峰彦
長谷川利拡
発行年度 2007
要約 日本の代表的な農耕地生態系である水田での水稲の生育・収量や炭素・窒素収支が、地球温暖化によってどう変化するかを実験的に明らかにするために、水田生態系における周年開放系温暖化実験システムを開発しました。
背景・ねらい
地球温暖化は、夏季の水田生態系において、水稲の生育や収量だけでなく水田からの二酸化炭素やメタンの発生にも影響すると懸念されています。また、冬季の非作付期間の温度上昇は、土壌水分や土壌微生物活性の変化を通じて年間の炭素・窒素収支を変え、長期的に夏季の水稲生育環境や温室効果ガス動態に影響を及ぼす可能性があります。これらの長期的な応答を明らかにするためには周年で温暖化実験を行う必要があります。そこで、夏季の水稲生育期間と冬季の非作付期間にわたり、屋外の水田生態系を温暖化できる周年開放系温暖化実験システムを、世界で初めて開発しました。

成果の内容・特徴 農業環境技術研究所内の水田に、4反復の温暖化区と対照区を設けました(各4×5m)。夏季の水稲生育期間は、電気温床線を畝間の水中に設置し、温暖化区の水温が対照区より2℃高くなるように、温度調節計を用いて自動的に制御しました(図1:PROSPECT)。水温について設定通りの制御ができ、水稲の根圏の地温も加温できていました。
冬季の畑状態の非作付期間は、電気温床線による制御が困難なため、赤外放射反射シートを用いて夜間の放射冷却を抑制することにより夜間の地温を上昇させる装置を開発しました(図2:PROPHET)。シートの展張と巻き取りはモーター付巻取機をデータロガーで操作することにより自動的に行いました。この温暖化処理により、夜間の地表面温度は対照区より1~4℃高く維持できました。特に深さ10cmでは夜間のシート被覆による保温効果が昼間まで残っており、土壌が安定的に温暖化されていることがわかりました。
図表1 225510-1.jpg
図表2 225510-2.jpg
図表3 225510-3.jpg
カテゴリ 水田 水稲

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