黄体遺残牛における血液中の性ホルモンの推移と病因解明

タイトル 黄体遺残牛における血液中の性ホルモンの推移と病因解明
研究期間 1993~1993
研究担当者 :加茂前秀夫
横木勇逸
岩村祥吉
吉岡耕治
谷口稔明
発行年度 1993
要約 牛の黄体遺残として,子宮腔内における少量の粘液の存在が黄体退行因子の生産を阻害しているものと考えられた。また,プロスタグランジンF2αの投与により遺残黄は急速に退行し,その後に排卵が起こった。
背景・ねらい 妊娠していないにもかかわらず黄体が長く存続する黄体遺残は,無発情によ
る交配の遅延から生産性を著しく阻害する。本症の原因としては,子宮にお
ける黄体退行因子の産生阻害,あるいは下垂体からの性腺刺激ホルモン分泌
の異常が考えられている。しかし,その原因や病態については不明な点が多
い。
そこで,臨床的に子宮に異常が認められない牛の黄体遺残について,その病
態を臨床病理学的に追究し,黄体遺残の原因の一端を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 黄体遺残牛では,血液中のプロジェステロン濃度は正常発情周期の黄体
    開花期と同程度の高値を長く持続することが明らかとなった
    (図1)。
  2. 黄体が遺残した発情周期の黄体期における黄体形成ホルモン(LH)の
    律動性放出頻度および血中LHの平均濃度は正常発情周期の黄体開花期と差
    がなく(1.57;0.53vs 1.40;0.89:平均;SD回/8
    時間,1.25;0.62vs 1.04;0.52ng/ml),LH分
    泌の異常は認められなかった。
  3. 直腸検査では子宮に異常を認めなかったが,診断的子宮洗浄において回
    収液中に帯白色半透明な粘液の存在が10例中7例に認められた。
  4. 排卵後37~55日に剖検した黄体遺残牛3例において,子宮腔内に少
    量(約2ml)・の帯白色半透明な粘液が認められた
    (表1)が,これら
    の子宮は組織学的検査から感染性の変化は認められなかった。
  5. プロスタグランジンF2α(PGF2α)投与により黄体は全11例で
    急激に退行し,そのうち9例では排卵が認められた
    (表2)。
    これらのことから,黄体遺残は性腺刺激ホルモンの分泌異常に起因するもの
    ではなく,子宮腔内に粘液が貯留して黄体退行因子の産生が阻害されること
    により起こることが示唆された。
成果の活用面・留意点 臨床的に子宮に異常が認められない黄体遺残牛の病態を明らかにすることが
でき,これらの知見は黄体遺残の理解ならびに臨床診断および治療に活用さ
れるものと期待される。
図表1 225545-1.gif
図表2 225545-2.gif
図表3 225545-3.gif
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