牛ネオスポラ原虫の分離とその性状

タイトル 牛ネオスポラ原虫の分離とその性状
担当機関 家畜衛生試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約  ネオスポラ原虫に感染している疑いのある胎児や新生子牛の脳,脊髄組織を収集し,細胞培養系を用いて分離を試みた。その結果,原虫分離に成功し,原虫の免疫学的反応性はアメリカで分離されたネオスポラ標準株と類似するものであった。
要約(英語) Brain and spinal cords obtained from aborted bovine fetuses and congenitally infected calves, which were suspected to be infected with Neospora sp., were used for in vitro isolation. Neospora sp. were successfully isolated and its immunological reactivities were found to be similar to those isolated in the U.S.A. (Systematic Diagnosis Research Division, Lab. of Epidemiology TEL 0298-38-7770)
背景・ねらい  牛のネオスポラ症は,ネオスポラ原虫の感染による流産や子牛の神経症状を主徴とする疾病である。我が国では1991年の初報告以来,全国22の道府県で病理学的診断による発生報告があり,これはさらに増える傾向にあり畜産産業上大きな問題となっている。そこでこの感染症の研究,調査,予防法の開発のため,細胞培養系を用いたネオスポラ原虫の分離を試みた。また,分離に成功した原虫と標準株との比較,感染試験を行った。
成果の内容・特徴
  1. ネオスポラ原虫感染の疑いのある流産胎児や胎盤感染した子牛の組織22例を収集し,Vero細胞及び肺動脈内皮細胞に接種した。その結果,茨城県内の新生子牛の神経組織から,接種49日目にネオスポラ原虫の分離に成功した(写真1)。
  2. 分離された原虫を精製し,間接蛍光抗体法の抗原としてネオスポラ陽性標準血清と反応させたところ,原虫に蛍光色素が観察された(写真2)。
  3. 間接蛍光抗体法を用いてネオスポラ標準米国株(BPA1)や他の近縁の原虫株との反応性を比較したところ,分離された原虫はネオスポラ標準陽性血清と高い希釈濃度で反応し,他の原虫株の陽性血清とは反応しなかった(表1)。
  4. 分離された原虫(2×105個)をBALB/cマウス,プレドニゾロンで免疫抑制したBALB/cマウスとヌードマウスに接種したところ,プレドニゾロンで免疫抑制したBALB/cマウスとヌードマウスに削痩や神経症状を呈し(写真3),接種後7日から24日の間に死亡した。
成果の活用面・留意点
     今回得られた原虫を用いて,ネオスポラ原虫の間接蛍光抗体法の抗原作製が可能となり,ネオスポラ症の実態を知るための広範囲な疫学調査が可能となった。また,動物への感染試験や,薬剤の治療効果試験などを行うことも可能となり,今後ネオスポラ症の予防法や治療法の開発が期待される。
図表1 225620-1.JPG
図表2 225620-2.JPG
図表3 225620-3.JPG
図表4 225620-4.JPG
カテゴリ 治療法 薬剤

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