家畜を吸血源とする蚊の種類とアカバネウイルス保持能力

タイトル 家畜を吸血源とする蚊の種類とアカバネウイルス保持能力
担当機関 (現
研究期間 1997~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約  鹿舎と牛舎においてはシナハマダラカが最も多く捕獲され,アカイエカ,ヤマトヤブカが続いた。これらの蚊はシカとウシ両方から吸血した。シナハマダラカにアカバネウイルスを接種したところ,ウイルスは20日以上体内で保持された。
要約(英語)  Anopheles sinensis was captured in largest numbers at a deershed and a cowshed in Morioka city and followed by Culex pipiens pallens and Aedes japonicus. These mosquitoes blood-sucked from deer and cows. Since the Akabane virus was infused into to the thorax of Anopheles sinensis, the virus was held for more than 20 days in the body of the mosquito.(Livestock Environment Lab., Department of Animal Production and grassland Farming, National Agricultural Research Center for Tohoku.TEL +81-019-643-3544)
References:
 Yamashita, N. et al. :Vectorial role of Aedine mosquitoes in Akabane virus transmission. J. Jpn. Vet. Med. Assoc., 52: 763-767(1999)
背景・ねらい
 アカバネ病は吸血昆虫が媒介するウシの重要疾病であり,5~10年周期で流行が見られる。日本における媒介昆虫としてはウシヌカカが最も疑わしいとされているが,この種は北東北以北には分布しておらず,それらの地域における流行はウシヌカカ以外のベクターが関与している可能性が考えられる。また東北においては非流行年においても野生鹿で62%もの高い抗体保有率が確認され,シカが本病の保有動物である可能性も示唆されているが,これまでシカの吸血昆虫は不明であった。そこでウシとシカから吸血するカの種類相を明らかにし,それらの体内におけるアカバネウイルスの保持能力を解明する。
成果の内容・特徴

  1. 盛岡市の東北農試内の鹿舎および牛舎において1995年7月から9月にかけてライトトラップで蚊を採集した。鹿舎,牛舎共にシナハマダラカが最も多く,それぞれ捕獲個体数の62%以上をしめ,この後,アカイエカ,ヤマトヤブカ,オオクロヤブカ,コガタイエカと続いた(表1)。
  2. 採集した蚊のうち吸血している個体についてELISA法でその吸血源動物を検出した ところ,全ての種でシカとウシから吸血したことが明らかになった(表2)。
  3. 個体数の多かったシナハマダラカとアカイエカについて,それらの胸側部にアカバネ病ウイルスをマイクロインジェクターで接種し,所定期間飼育した後,生虫体で乳剤をつくりウイルス定量を行った。また,ヒトスジシマカはウシ吸血性が高くその株化細胞内でアカバネウイルスを増殖させることが判明しているが,生体内では不明であったのでこの種についても同じ試験を行った。シナハマダラカにおいては接種直後より虫体内ウイルス感染価は高くなり,接種後20日以上保持されることが明らかになった(表3)。アカイエカはウイルス濃度が高くならず15日目には検出できなくなった。ヒトスジシマカは20日後までウイルスを保持したが感染価は低かった。

成果の活用面・留意点
  1. シナハマダラカは,北東北から九州における放牧地や牛舎における優占種であり,ウシから吸血し,ウイルス保持期間も長いので本種がアカバネウイルスの伝播に関与する可能性が考えられる。
  2. ベクターを特定するためには動物を用いた感染実証試験が必要であるが,そのための基礎的知見となる。

図表1 225708-1.gif
図表2 225708-2.gif
図表3 225708-3.gif
カテゴリ くり シカ

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