ヨーネ病の早期診断法に用いる遺伝子組換え抗原

タイトル ヨーネ病の早期診断法に用いる遺伝子組換え抗原
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 永田礼子
宗田吉広
森 康行
発行年度 2005
要約  ヨーネ菌遺伝子発現ライブラリーを作製し、2つのインターフェロン・ガンマ(IFN-γ)誘導抗原遺伝子クローンを得た。これらの遺伝子組換え抗原は、ヨーネ菌感染牛由来末梢血単核球に対して高いIFN-γ誘導能を示す。さらに、抗インターロイキン10(IL-10)抗体を添加するとIFN-γ産生量が増加し、ヨーネ菌の感染を高感度に検出できる。
キーワード ウシ、ヨーネ菌、ゲノムライブラリー、IFN-γ、IL-10
背景・ねらい  鳥型結核菌の亜種であるヨーネ菌は、慢性の難治性の下痢を特徴とする法定伝染病であるヨーネ病を引き起こす。本病は近年全国的に摘発頭数が増加傾向にあり、新たな予防・診断法の開発が急務とされている。IFN-γ検査法は、抗酸菌感染の初期に上昇する細胞性免疫応答を測定する手段として、ヨーネ菌感染の早期診断への利用が検討されているが、報告されている抗原の特異性が問題点の一つである。そこでヨーネ菌の遺伝子及び発現タンパク質を解析し、遺伝子組換え抗原を作製し、特異性及び感度の高い検査法を開発する。
成果の内容・特徴 1.
発現ベクターを用いたヨーネ菌ゲノムライブラリーを作製し、IFN-γ誘導活性の測定により、2つの陽性クローンを同定した。各クローンにおいて発現が予想されるタンパク質(Map39及びMap41)は、結核菌のPPE family proteinと高い相同性を示し、特徴的な配列からヨーネ菌のPPE family proteinであることが示唆される。
2.
Map39及びMap41について組換えタンパク質を作製し、精製抗原を作出した。これらの抗原はヨーネ菌感染牛由来末梢血単核球のIFN-γを誘導するが、健康対照牛では有意のIFN-γ産生は認められない(図1)。さらにMap39及びMap41抗原刺激によるIFN-γ産生は、ヨーネ菌抗原PPDと同様に抗IL-10抗体添加により増加する(図2)。
3.
組換えMap39及びMap41抗原タンパク質に対するモノクローナル抗体を作製し、ヨーネ菌ATCC19698株全菌体タンパク質を用いたイムノブロッティング法により、Map39及びMap41抗原のヨーネ菌での発現を確認できる(図3)。
4.
PPE family proteinと予想されるMap39及びMap41抗原の遺伝子は、PCR法により鳥型結核菌には認められるが、他の抗酸菌には認められない。
成果の活用面・留意点 1.
従来のIFN-γ検査法に用いられているヨーネ菌PPD抗原は多数の抗原物質を含有しているのに対し、Map39及びMap41抗原は単一の組換えタンパク質抗原であり、ヨーネ菌実験感染牛では非感染牛に比べて有意に高いIFN-γ産生が認められたことから、PPD抗原に替わるIFN-γ検査用抗原として利用できる。
2.
抗IL-10抗体添加によりMap39及びMap41抗原刺激後のIFN-γ産生が増加することから、本抗原によるIFN-γ検査法の感度を高めることができる。
3.
Map39及びMap41は組換えタンパク質として大量産生でき、安定して抗原を供給することができる。
4.
作製したヨーネ菌ゲノムライブラリーを利用して、本抗原以外にもヨーネ病の診断法の改良や、発病機構の解明などに有用な抗原遺伝子をクローニングすることが可能である。
図表1 225809-1.gif
図表2 225809-2.gif
図表3 225809-3.jpg
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