ウロコルチン遺伝子の発現を指標としたヨーネ病の診断法

タイトル ウロコルチン遺伝子の発現を指標としたヨーネ病の診断法
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 王 宏宇
百溪英一
発行年度 2005
要約  ヨーネ菌抗原を牛の血液に添加して培養後にウロコルチンの遺伝子発現を測定することで感染を判定する診断法で、ELISA法や細菌培養法などの公定法で陰性を示す不顕性感染牛も診断可能な新技術である。
キーワード ウシ、ヨーネ病、診断、神経ペプチド、PCR
背景・ねらい  牛のヨーネ病は慢性の下痢を特徴とする家畜法定伝染病であるが、近年、発生増加による畜産業に対する経済的被害が多大である。また感染牛の牛乳には本菌が排出され、子牛への感染源になるとともに、食品衛生上の問題にもなっている。実際、ヨーネ菌が人のクローン病患者の病変部や末梢血液から検出・分離されるなどの報告がなされているためにクローン病との関連を疑う報告も多い。我が国では従来から、本病を撲滅対象疾病に指定し対策を講じてきたが、病気のステージにより免疫学的応答性が複雑多様であることから、単一の診断法での清浄化が困難である。そのため、新たな原理による診断方法の開発が求められている。
成果の内容・特徴 1.
ヨーネ病の感染初期には菌を殺す作用のある細胞性免疫機能が高まるが、一般に中期以降低下するため、免疫抑制に関連する神経ペプチドの遺伝子発現を調べるため、牛のマクロファージを大腸菌由来リポポリサッカライド(LPS)で刺激し、ウロコルチンのcDNAのクローニングを実施した(図1)。これはNCBI遺伝子データベースに登録されている(NM_001032301)。
2.
得られた遺伝子配列を元に、ウロコルチン遺伝子発現を測定するリアルタイムRT-PCR用のプライマーをデザインして特異性を確認している。(図2)。
3.
不顕性感染実験牛と非感染牛の血液をとり、ヨーネ菌抗原を加えた場合と加えない場合のウロコルチンmRNAの発現レベルを経時的に測定すると、感染牛では菌抗原刺激時に特異的に抑制される現象が見られる(図3)が、健康牛では有意差は見られない(図4)。ウロコルチンmRNAの測定値は発現が一定しているGAPDHを内部標準とした補正値を使用する。
4.
細胞刺激や活性化を起こすLPSで血液細胞を刺激した場合のウロコルチンmRNAの発現を測定すると、感染牛では添加・無添加での有意差はなく、健康牛ではいずれも増加傾向を示し感染牛と区別し得ない。
5.
ヨーネ菌抗原無添加培養血液でのUCN mRNAの測定値をA、同抗原添加培養血液での測定値をBとして、(A-B)/A=Cという数式を適用すると、ヨーネ菌感染牛ではC値が0.3以上となり、感染・非感染の判定が可能である。
成果の活用面・留意点 1.
ヨーネ病の発生のある牧場において、公定法を補強する検査法として感染を疑う牛のスクリーニングに利用できる。本診断結果を農場の汚染状況の把握に活用することで清浄化が進む。
2.
ヨーネ病には様々なステージがあるため、単一の技術での診断では感染動物の判定が十分ではないため、抗体検出や糞便中の菌の分離培養などと組み合わせて検討すると摘発効果が高い。
図表1 225810-1.gif
図表2 225810-2.gif
図表3 225810-3.gif
図表4 225810-4.gif
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