口蹄疫ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤はウイルス増殖を抑制する

タイトル 口蹄疫ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤はウイルス増殖を抑制する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2004~2006
研究担当者 坂本研一
山添麗子
深井克彦
大橋誠一
発行年度 2006
要約  口蹄疫ウイルスRNA依存性 RNA ポリメラーゼ(RRp)とレトロウイルス逆転写酵素は構造に類似性があり、抗HIV薬及びRRpの阻害剤、ピラジンカルボキサミド誘導体は口蹄疫ウイルスの増殖を抑制する。
キーワード 偶蹄類、口蹄疫ウイルス、RNA依存性RNAポリメラーゼ、抗ウイルス剤
背景・ねらい  牛や豚などが口蹄疫に感染した場合、感染後数日でウイルスを排泄し新たな感染源となる。特に口蹄疫に感染した豚は牛に比べて約1000倍のウイルスを排泄し、大流行の原因となる。しかし、現在使用されている口蹄疫不活化ワクチンでは、抗体を産生するまでに7日間以上を要し、感染初期におけるウイルス排泄量を減ずることはできない。これに対して抗ウイルス剤は投与後すぐに効果が期待できることから、口蹄疫においてもその開発や探索が望まれる。本研究では、口蹄疫ウイルスに対する抗ウイルス剤の標的として最も重要と考えられる酵素、RNA依存性RNA ポリメラーゼ(RRp)を精製し、その構造を明らかにするとともに阻害剤を探索する。
成果の内容・特徴
  1. 組換えバキュロウイルスで口蹄疫ウイルス3D蛋白質にHisTagを付加して発現させ、Ni Sepharoseのアフィニティークロマトグラフィーで精製し、単一のピークを電気泳動後のクマシー染色とウエスタンブロット法でRNA依存性RNAポリメラーゼ(RRp)と同定した(図1)。5mlのNi Sepharoseカラムから約3mgのRRpの精製が可能である。
  2. 口蹄疫ウイルスRRpの3次元構造は、構造が既知のポリオウイルスRRpと極めて類似している(図2)。
  3. 口蹄疫ウイルスRRpとレトロウイルス逆転写酵素は構造に類似性があり、非核酸系逆転写酵素阻害剤の中には口蹄疫ウイルス(FMDV)の増殖を阻害するものがある(表1)。
  4. ピラジンカルボキサミド誘導体は、口蹄疫ウイルス血清型Oに対する増殖阻害作用を示す(表1)。
  5. 本誘導体の内、特に強い阻害作用が認められたT-1105は、口蹄疫ウイルスの他の血清型A, Asia 1, C型に対しても同程度の増殖抑制効果を示す。
成果の活用面・留意点
  1. 抗ウイルス剤を用いた全く新しい口蹄疫の防疫技術であり、特にワクチンでは期待できない感染初期における感染動物からのウイルス排泄量の低減が可能となる。
  2. 探索した抗ウイルス剤は、口蹄疫ウイルスに共通なRNA依存性RNAポリメラーゼを標的とすることから、血清型や地域型、ウイルス株に関係なく広く使用できる点がワクチンとは異なる。
  3. 試験管内の実験で高い有効性の認められた抗ウイルス剤について、今後、動物を用いた口蹄疫ウイルス排泄抑制試験で実証する必要がある。
図表1 225848-1.jpg
図表2 225848-2.gif
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