単純な培養液を用いた卵子の体外成熟・受精による子豚生産

タイトル 単純な培養液を用いた卵子の体外成熟・受精による子豚生産
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1991~1993
研究担当者
発行年度 1994
要約 豚未成熟卵子を、システインを0.08mM含む修正TALP液内で36時間培養して得られた成熟卵子に体外受精を行い、受精36時間後に2-4細胞期に発生した胚を受胚豚に移植した。その結果、3頭の子豚が生まれた。
背景・ねらい 豚卵子の体外成熟・受精による子豚の生産は、1989年にイタリアで初めて報告された。しかし、受精後の雄性前核形成率が高い正常卵子を得るためには、培養液中に卵胞細胞の添加を必要とするなどその卵子の培養方法が複雑であった。ところが、組成が単純な成熟培養液でもシステインを添加すると、卵子内のグルタチオン濃度が高くなり、その結果、受精後に高い雄性前核形成を示す正常な卵子を多く生産できることが判明した。そこで、単純な培養方法で成熟させた豚未成熟卵子の個体への発生能を、受精卵移植試験によって調べた。
成果の内容・特徴
  1.  システインを0、0.02、0.04、0.08、0.14及び0.57mM含む修正TALP液(NaCl:114mM、KCl:3.16mM、CaCl22H2O:2mM、MgCl26H2O:0.5mM、Na-Lactate:10mM、NaH2PO42H2O:0.35mM、Glucose:5mM、NaHCO3:25mM、Na-Pyruvate:0.1mM、Glutamine:1mM、Isoleucine:0.2mM、Methionine:0.05mM、Phenylalanine:0.1mM)中で36時間成熟培養した豚卵子のグルタチオン濃度及び体外受精後の雄性前核形成率を調べた。その結果、図1に示すように添加したシステインの濃度に依存して卵子内のグルタチオン濃度及び雄性前核形成率が高くなった。
  2.  豚未成熟卵子をシステインを0.08mM含む修正TALP液中で36時間培養して得られた成熟卵子(356個)に体外受精を行い、受精36時間後に2-4細胞期に発生した胚(84個)の内75個を1頭の受卵豚に移植した。その結果、3頭の子豚が生まれた(表1参照)。
成果の活用面・留意点
  1.  比較的組成が単純な培養液を用いた豚未成熟卵子の成熟培養の可能性が示唆され、今後の豚における体外成熟・受精技術に活用できる。
  2.  移植試験の頭数が少ないので、さらに例数を増やす必要がある。
図表1 225938-1.gif
図表2 225938-2.gif
カテゴリ 受精卵移植

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