無血清培地によるウシ卵子の体外成熟および体外受精卵の培養法

タイトル 無血清培地によるウシ卵子の体外成熟および体外受精卵の培養法
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1993~1995
研究担当者
発行年度 1996
要約 ウシ未成熟卵胞卵子を卵胞刺激ホルモン添加TCM199培地で成熟培養後,ヘパリン処理精子を用いて媒精し,低酸素分圧下でCR1aa培地を用いて培養することにより,血清を用いない非共培養系でのウシ胚盤胞の生産が可能である。
背景・ねらい ウシ胚を得る方法の一つとして体外受精技術が開発され、実用化技術として確立されつ
つある。しかしながら、今日においても未成熟卵の成熟及び受精卵の胚盤胞への発生が安
定して行われるまでには至っておらず、その要因の一つとして培地への添加血清の品質の
不安定性があげられる。また、伝染病等の予防の観点からも無血清培地による卵子及び受
精卵の培養は不可欠であると考えられる。そこで、培養液の組成や培養条件を検討し、未
成熟卵の成熟から胚盤胞までの発生を維持できる無血清培地による体外培養系を開発した。
成果の内容・特徴
  1. ウシ未成熟卵胞卵子を血清添加あるいは無添加のTCM199(卵胞刺激ホルモン添
    加)を用いて成熟培養を行った場合、成熟培地への血清添加の有無にかかわらず、成熟率
    及び胚盤胞への発生率に差は認められなかった(表1)。
  2. 発生用培地の基本培地としてTCM199とCR1aaを比較した場合、卵丘細胞と
    の共培養条件では差は認められなかったが、非共培養系ではCR1aaを用いた場合の方
    が有意に胚盤胞への発生率が高まった(表2)。
  3. 体外成熟・体外受精後のウシ卵子をCR1aa培地(媒精5日目よりグルコース添加)
    を用いて培養した場合、培養気相中の酸素分圧を20%から5%へ下げることにより、胚
    盤胞への発生率を高めることができた。ただし、CR1aaのウシ血清アルブミンをポリ
    ビニルアルコールに置き換えた場合には、胚盤胞への発生は認められなかった(表3)。
成果の活用面・留意点
    血清を用いない非共培養系でのウシ胚盤胞の作出が可能である。ただし、本方法におい
    てもウシ血清アルブミンの添加は必要で、今後、完全合成培地による培養系の開発が必要
    である。
図表1 226036-1.jpg
図表2 226036-2.jpg
図表3 226036-3.jpg
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