良好な精子の運動性を維持できる馬および鹿の精巣保持方法

タイトル 良好な精子の運動性を維持できる馬および鹿の精巣保持方法
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 馬ならびに鹿の精巣上体精子の回収において,精巣上体を摘出精巣から分離せずに4~5℃で保持すると精巣上体精子の運動性が良好に維持されることが明らかになった。4~5℃で24時間の精巣保持が可能である。
背景・ねらい 動物遺伝資源保存のために様々な動物種の生殖細胞の保存が進められている。馬ならびに鹿の生殖細胞の凍結保存法には改良の余地が多いが,中でも凍結保存後の受精率が優れていることで知られている精巣上体精子の回収に関する知見はあまりない。
従来,精巣上体精子を回収する場合,精子が温度変化に弱いことを考慮して急激な温度変化を避け,25~37℃で摘出精巣を保持しつつなるべく速やかに回収する方法がとられている。回収精子の運動性が最も良好となる精巣の保持条件を明らかにするために精巣摘出から精子回収までの精巣の保持方法(時間・温度)と回収精子の運動性の関係を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 摘出馬精巣を4℃で保持した場合,保持時間の長短に関わらず回収直後の精子の運動性は25℃保存より良好である(表1)。4℃で25時間保持した精巣から回収した精子は,8時間培養後も運動性(10+++)が保持されていた。また,長時間(49時間)の保持後も,回収精子の運動性は保持されることが観察された。凍結・融解後の運動性は4℃で保存した精巣から回収した精子が良い傾向にあった。
    2.5℃で24時問保持した鹿精巣から回収した精子の回収直後の運動性が顕著に良好であった(表2)。供試鹿4頭中2頭(N0.D3,D4)の精子は回収8時間後まで極めて良好な運動性を保持し続けた。
    3.馬精巣上体精子を摘出精巣から回収する際は,回収時まで4℃で保持することが望ましいことが明らかとなった。鹿精巣上体精子を回収する場合,5℃で24時問の精巣保持が可能であることが明らかになった。
成果の活用面・留意点
    精巣上体を精巣から回収して用いる場合,特に精巣摘出から精子の回収まで長時間を要する場合には精巣を低温で保持することで精子の運動性が保たれることが明らかとなった。馬と鹿以外にも野生動物の精巣保持に応用できる可能性がある。
図表1 226037-1.jpg
図表2 226037-2.jpg
カテゴリ 遺伝資源

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