タイトル | 抗体産生抑制機能をもつ新規マウス・バイエル板丁細胞クロ一ンの樹立 |
---|---|
担当機関 | 畜産試験場 |
研究期間 | 1998~1998 |
研究担当者 |
栗崎純一 水町功子 辻 典子 |
発行年度 | 1998 |
要約 | 9一ラクトグロブリン(BLG)の投与により経口免疫寛容を惹起したマウス・バイエル板に,免疫応答抑制性丁細胞群が誘導されることを明らかにし,さらにBLG特異的CD4十丁細胞クローンを樹立することに成功した。それらは抗体産生抑制性の機能を持つ新しいタイプの抑制丁細胞である。 |
背景・ねらい | アレルギー疾患や各種免疫病の予防・治療方法として経口免疫寛容の応用が期待されている。経口免疫寛容により炎症性丁細胞が抑制されるメカニズムは近年明らかになりつつあり,実際に丁細胞が引き起こす自己免疫疾患の治療への応用も試みられ始めた。しかし経口免疫寛容による抗体産生抑制のメカニズムは未だ明らかになっていない。抗体産生に抑制性に働く細胞群の性質を知るため,経口免疫寛容の誘導器官である消化管のバイエル板よりβ一ラクトグロブリン(BLG)特異的なCD4+(従来のヘルパー丁細胞サブセットに特徴的なCD4分子を表現する)T細胞クローンを樹立し,その機能を明らかにすることを目的とした。 |
成果の内容・特徴 | 1. BLGを投与して経口免疫寛容を誘導したマウスのバイエル板より6株のBLG特異的CD4+T細胞クローン6株を樹立した(PP1,PP2,PP3,PP4,PP5,PP6)。それらはin vitroでの抗体産生を抑制する機能を有していた(図1)。 2. 図2)。 3. 図3)。 4. 図4)。そのため,これらCD4+T細胞クローンは生体内を巡った後もバイエル板に回帰し,繰り返しBLGにより刺激を受けることにより機能を持続し,経口免疫寛容状態の維持に寄与する可能性がある。 5. 図5)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 食物アレルギーなど主に抗体が関与して引き起こされる疾病に対して経口免疫寛容現象を利用するためには,その抗体産生抑制の機構を解明する必要がある。 本研究により新たに樹立された抗体産生抑制性T細胞クローンの性質が明らかとなれば,それらの細胞群を積極的に誘導したり活性化する方策を探ることが可能となる。すなわち,経口免疫寛容を効率よく誘導・持続させる技術が開発されることになり,抗体関与の免疫病を経口免疫寛容の応用により制御する可能性が広がる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ |