イネ種子で発現するプロテインキナーゼ遺伝子の解析

タイトル イネ種子で発現するプロテインキナーゼ遺伝子の解析
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 イネから酵母のSNF1と相同性の高いプロテインキナーゼ(タンパク質リン酸化酵素)遺伝子 を単離した。この遺伝子はイネの種子で多く発現し、さらに登熟の過程でデンプンの蓄積に先立って最も強く発現した。この結果及び相同性の比較からこの遺伝子がイネの登熟過程における糖、デンプン、脂質等の代謝調節に関与している可能性が示唆された。
背景・ねらい プロテインキナーゼ(PK)によるタンパク質のリン酸化は、植物の代謝や環境応
答を制御する情報の伝達において重要な役割を果たしていることが明らかとなっ
てきている。イネ種子へのデンプンの蓄積は植物体の生育に伴い厳密に制御され
ており、登熟過程における糖、デンプン等の代謝調節にPKが重要な役割を果たし
ていることは十分予想される。そこで本研究では、これらの代謝の制御機構の解
明を目的としてイネのPK遺伝子の単離及び解析を行った。
成果の内容・特徴
  1. イネのPK遺伝子の単離を行い、酵母の糖代謝に関与するSNF1遺伝子と相同性が高く、また種子において強く発現する遺伝子のcDNAを4種類単離した(図1)。
  2. この遺伝子発現は出穂後10日目まで増加し、その後減少していることから、このPK遺伝子が種子の登熟になんらかの役割を果たしていることが示唆された(図1)。
  3. この遺伝子のコードするタンパク質が、リン酸化能を有することが示された。
  4. 相同性の解析から、この遺伝子は植物で既に単離されているSNF1相同遺伝子や動物において脂質の代謝を制御しているPKと相同性を示すことが明らかとなった(図2)。このことからイネのSNF1相同遺伝子が脂質の代謝を制御している可能性も考えられた。
成果の活用面・留意点 イネ種子における糖、デンプン、脂質等の代謝制御機構の解明は、米の品質向上
を考えると非常に重要である。今回単離したPKはこれらの制御機構の分子レベル
での研究の糸口になると考えられる。
図表1 226177-1.gif
図表2 226177-2.gif
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