タイトル |
イネのリコンビナント・インブレッドラインを用いた食味のQTL解析 |
担当機関 |
北陸農業試験場 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
DNAマーカーと日印交配によるリコンビナント・インブレッドライン(RILs)を用いた食味のQTL(量的形質遺伝子座)解析を行い、第1、2、6、8、11、12染色体上に食味に関連する形質が重なるQTLを検出した。特に第6染色体上のQTLは、粘り、滑らかさ、光沢、総合評価に共通して関連する。
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背景・ねらい |
食味は複合形質であり、遺伝的な解析が困難と考えられてきた。近年、DNAマーカーの開発により複雑な遺伝様式を示すこのような量的形質について、その関連する遺伝子の染色体上の位置や作用を明らかにできるQTL(量的形質遺伝子座)解析が行えるようになってきた。インド型イネ品種「密陽23号」と日本型品種「アキヒカリ」との交配により得られたリコンビナント・インブレッドライン(RILs)について、DNA(制限酵素断片長多型:RFLP)マーカーを用いたQTL解析を行い、食味の遺伝的発現機構を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 1995年および1996年にRILs、191系統を用いて、食味関連形質(米飯の光沢、粘り、滑らかさ、型崩れ、堅さ、総合評価「個人の嗜好の良し悪し」、アミロース含量、タンパク質含量)についてのQTL解析を行い、合計14の染色体領域でQTLを検出した。このうち第1、3、6、8、11、12染色体上のQTLは、複数種の形質が重なって検出される(図1)。
- 両親はともにやや悪いとの総合評価であるが、特に第6染色体上のQTLは、総合評価、光沢、粘り、滑らかさの評価が、「密陽23号」の遺伝子型をもつとき「良い」あるいは増大すると評価される(図2)。
- このQTLはアミロースおよびタンパク質含量との関連は認められず、これら形質以外の食味に関係する遺伝子座である。
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成果の活用面・留意点 |
- 検出したQTLの作用および穀粒成分等との関係を解明していく必要がある。
- 検出したQTLは「密陽23号」と「アキヒカリ」との組合せに限定されたものであり、「コシヒカリ」、「ササニシキ」に代表される食味との関連性については今後の検討を要する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
DNAマーカー
品種
良食味
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