タイトル |
菌類の光学顕微鏡画像の分光透過率推定とカラー画像の再現 |
担当機関 |
農業生物資源研究所 |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
川田真佐枝
竹谷 勝
武田尚人
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発行年度 |
2000 |
要約 |
菌類の光学顕微鏡画像の色情報を精密に記録するため、画像上の微小領域ごとの分光透過率を、広帯域フィルターによるマルチバンド画像から推定するシステムを開発した。これにより任意の光源下でのカラー画像を再現できる。
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背景・ねらい |
光学顕微鏡を通してディジタルカメラや銀塩カメラでカラー画像を撮影すると、光源色に大きく影響をうける。しかし、試料に特有の分光(各波長ごとの光の)透過率は、光源や画像入力装置による影響をうけないことから、光学顕微鏡画像の画素ごとの分光透過率を、マルチバンド画像(異なるフィルターで撮影した画像の組)から推定するシステムを開発し、任意の光源下の光学顕微鏡画像を再現する。
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成果の内容・特徴 |
- 本マルチバンド撮影法ではフィルタリングに特殊な装置を必要としない。用いた器材は、光学顕微鏡、モノクロCCDカメラ、および7枚の広帯域フィルターであり、コンデンサーレンズと光源の間にフィルターを順次挿入して撮影する。
- Wiener法を用いた推定手法を開発することにより、少数のフィルターから分光透過率を推定できる。分光透過率を予め実測した数十枚のカラーサンプルを用意し、1枚ずつマルチバンド撮影してセンサー応答を得る。この分光透過率:oとセンサー応答:vのベクトルの組から推定行列:G=ovT>vvT>-1を導出した(図1)。>はアンサンブル平均を表す。
- 菌類のマルチバンド画像で同一画素に対応するセンサー応答の組と、推定行列との積を計算し、その画素に対する分光透過率を推定する。この計算をすべての画素で行うことにより、各画素が分光情報を持つ分光透過率画像を得ることができる(図2)。
- 分光透過率に、異なる光源の分光分布を波長ごと乗じることにより、同一の菌類に対して、複数の光学顕微鏡画像を再現することができる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- このシステムを用いて、Trichoderma属に属する2つの菌株の分光透過率を推定し、菌類の画像データベースのプロトタイプを作成した。URLは、「http://www.gene.affrc.go.jp/micro/T_list/Japan/iFindex.html」である。
- 異なる光源下での再現画像の中から、利用者は自分の観察・撮影環境に近い画像を選んで比較できるので、画像データベースの効果的な利用をはかることができる。
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カテゴリ |
カラー
データベース
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