ウシ子宮内膜組織様構造体の構築法とその機能

タイトル ウシ子宮内膜組織様構造体の構築法とその機能
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 1998~2002
研究担当者 橋爪一善
金野俊洋
高橋透
今井敬
山田治
山内伸彦
石渡広子
竹澤俊明
中野春男
中野博子
嶋田新
発行年度 2002
要約 アスコルビン酸による細胞の細胞外マトリックス産生能亢進作用を利用して、ウシ子宮内膜由来継代上皮細胞及び間質細胞からなる子宮内膜機能が検索可能な細胞塊を作製した。この細胞塊のオキシトシンへの反応性は生体での子宮内膜の反応を再現した。
キーワード ウシ、子宮内膜、三次元細胞塊、アスコルビン酸、細胞外マトリックス
背景・ねらい ウシの流産や早産の多くは、胎盤の発育・機能不全に起因するが、胎盤機能を生体外で検証する適正なモデルがなく、原因究明の隘路となっている。本研究では、着床・受胎に必要な子宮内膜情報を検索するモデルとして、ウシ子宮及び胎盤由来培養細胞から生体の子宮内膜と類似した機能構造体を組織工学的に構築する手法を検討することを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. ウシ子宮間質細胞にアスコルビン酸を添加、細胞の増殖性を高めておき、冷EDTA溶液を加え培養皿を振とうすると容易に細胞シートが浮遊した。この細胞シートを非接着性培養皿で継続培養すると、三次元の細胞塊を形成した(図1)。この手法では2種類以上の細胞種を組み合わせた細胞塊の作製が可能であった。
  2. 細胞塊の大きさは細胞数及び培養皿の大きさにより調整が可能で、面積約10平方センチメートルの細胞シートから直径2cmの細胞塊ができた(図2)。
  3. 上皮細胞と間質細胞の二種類の細胞を用いて細胞塊を作製すると、上皮細胞は常に細胞塊の偏縁に位置し、細胞の集合が完了した時には、外層に上皮、内側に間質細胞が位置する細胞塊ができた。この細胞塊は上皮直下に基底膜様構造を持ち、生体の子宮内膜と類似した構造であった(図3)。
  4. 細胞塊中では細胞の増殖は静止したが、細胞機能は単層培養した時に比べ長期間維持できた。子宮内膜上皮と間質細胞からなる細胞塊のオキシトシン(OT)に対するプロスタグランジン(PG)産生能は単層培養の上皮細胞に比較して、反応性が高く生体内の子宮内膜に似た応答を示した(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. アスコルビン酸を培養細胞に添加することにより、異なる種類の子宮・胎盤由来細胞を組み合わせた三次元の細胞塊が作製できた。この子宮内膜様モデルは形態的及び機能的に生体内の子宮内膜組織と類似し、子宮内膜機能の解析系とし利用可能である。
  2. 本手法は極めて簡便且つ異なる性質の細胞から三次元細胞塊を作製する手法であり、子宮・胎盤以外の細胞塊の構築に応用できる。
  3. 今後、細胞機能を更に長期間維持するために、細胞塊内部に栄養を供給する通路の構築法の開発が必要である。
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