BmRelA,Bによる抗菌性タンパク質遺伝子の選択的な転写活性化

タイトル BmRelA,Bによる抗菌性タンパク質遺伝子の選択的な転写活性化
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2001~2003
研究担当者 山川 稔
石橋 純
田中博光
発行年度 2002
要約 カイコ由来の転写因子BmRelA及びBは、その翻訳産物の違いがN末52アミノ酸残基の有無のみであるにもかかわらず、カイコ抗菌性タンパク質遺伝子の転写を選択的に活性化することが明らかとなった。
キーワード カイコ、抗菌性タンパク質遺伝子、Relタンパク質、転写制御
背景・ねらい 抗菌性タンパク質は昆虫の生体防御反応を担う主要なタンパク質であり、細菌などの侵入により急速に脂肪体などの組織で産生されることが知られている。これら抗菌性タンパク質遺伝子の発現制御を担う転写因子をクローニングし、その機能を明らかにすれば、この発現制御機構の解明が飛躍的に進むものと思われる。そこで、まず他の生物種において免疫タンパク質遺伝子発現制御のキーファクターとして知られているRelタンパク質cDNAをカイコからクローニングすることを試みた。
成果の内容・特徴
  1. カイコRelタンパク質としてBmRelA及びBmRelBのcDNAをクローニングした。AとBは、BがAの翻訳開始点に相当するメチオニンコドンを含む239bpが欠失されている以外同一であり、また、BはAと比較しアミノ酸レベルで52残基短いものであることが推測された(図1)。
  2. ショウジョウバエ由来の細胞を用いたコトランスフェクション実験により、BmRelAはレボシン4遺伝子、BmRelBはアタシン遺伝子の転写をそれぞれ強く活性化することが明らかとなった(図2)。N末領域の有無により、顕著な選択的転写活性化が起こるという報告例は過去にはなく、このような新規な機構によりカイコの抗菌性タンパク質の転写制御がなされていることが分かった。
  3. アタシン及び、レボシン4遺伝子上流域のシス領域を欠失させたレポーター遺伝子のトランスフェクション実験及びゲルシフトアッセイによりBmRelの結合領域を同定した。また、BmRelBによるアタシン遺伝子の転写活性化にはBmRelBのC末に存在する高プロリン領域が、BmRelAによるレボシン4遺伝子の転写活性化にはこの高プロリン領域に加えBmRelAのN末52アミノ酸残基の両領域が重要であることが明らかとなった。
成果の活用面・留意点 カイコでみられたRelタンパク質による抗菌性タンパク質の転写活性化機構は今まで知られているものとは異なった機構である。この機構はカイコ独特のものなのか、他の生物にもこのような機構がみられるのか確認する必要がある。
カテゴリ カイコ

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