イネミトコンドリアゲノムの全構造決定

タイトル イネミトコンドリアゲノムの全構造決定
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2001~2003
研究担当者 西川智太郎
門脇光一
発行年度 2002
要約 イネのミトコンドリアゲノムの全構造を決定した。この成果は、主要な穀類を含む単子葉植物で世界初の報告例である。本成果を加えると、イネ細胞を構成する全てのゲノム構造が明らかとなるため、基礎科学および農学上の波及効果は大きい。
キーワード ミトコンドリアゲノム、単子葉植物、イネ
背景・ねらい 植物細胞には3つのゲノム(核、葉緑体、ミトコンドリア)が存在し、その協調発現により生命が営まれているため、植物の生命活動を理解するためには3つのゲノムすべてについての解読が求められている。このうちミトコンドリアは、細胞におけるエネルギー生産を担い、ミトコンドリアゲノムの変異が花粉不稔や罹病性と関係していることなど、植物生命活動に関わる重要な小器官である。
トウモロコシ、コムギなどの主要穀物を理解するためのモデル植物として、イネの遺伝子情報の一刻も早い全解読が期待されていた。イネ葉緑体ゲノムの全構造は1989年に既に決定されており、イネ核ゲノムの全貌も明らかになった。しかし、もう一つのゲノムであるミトコンドリアゲノムの構造については、研究は断片的であり、全構造の報告例はなく、しかも穀類植物のミトコンドリアゲノム全構造決定は世界中の競争の的であった。
成果の内容・特徴 動物などのミトコンドリアゲノムは単一の環状の構造をしているが、高等植物のミトコンドリアゲノムは複雑なマルチパータイトと呼ばれる構造をしている。そのため全ゲノム構造の決定は容易ではなかったが、本研究によりその全貌が明らかとなった。
  1. 穀類植物を含む単子葉植物のミトコンドリアゲノムの全構造決定と解読に世界で初めて成功した(図1)。
  2. 農作物で初めて、細胞内の3つのすべてのゲノムの協調発現を解明することに道筋をつけた。
  3. 具体的には、ミトコンドリアゲノムの全長は 490,520 塩基であることを明らかにした(図1)。
  4. これまでに全構造の決定された双子葉植物アラビドプシスと比較すると、アラビドプシスのミトコンドリアゲノムに存在する遺伝子のいくつかは、イネのミトコンドリアゲノムから消失しており、逆にイネのミトコンドリアゲノム上の遺伝子のいくつかはアラビドプシスから消失しているなどの、植物のミトコンドリアゲノムの著しい遺伝子多様性を発見した。
カテゴリ とうもろこし

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる