コエンザイムQ10の新規な生産方法の開発

タイトル コエンザイムQ10の新規な生産方法の開発
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 高橋咲子
門脇光一
発行年度 2004
要約 ユビキノン-10とも呼ばれるコエンザイムQ10(CoQ10)は、ヒトにとって不可欠な抗酸化作用を持つ物質である。生体内で合成できるが、その細胞内濃度は加齢に伴い減少するため、健常者も補給が必要である。我々はグルコン酸菌由来のCoQ10合成関連酵素遺伝子を導入することにより、CoQ10生産イネの作出に成功した。
キーワード コエンザイムQ10、ユビキノン-10、DdsA、イネ、有用物質生産
背景・ねらい コエンザイムQ(CoQ)は生物に普遍的に存在する物質であり、ミトコンドリア内のATP産生に関わる必須成分である。CoQ10(図1)は様々な薬理効果を持つ活性物質で、ヒトでは心疾患を始めガン・高血圧など多くの疾患に対し効果があると評価されている。CoQ10は体内で合成できるが、加齢や疲労、ストレスによって細胞内濃度が減少するため、健常者であっても補給が必要である。2001年に厚生労働省が食品としての利用を認めたことから、サプリメントとして販売されるようになり、近年非常に人気を集めている。現在CoQ10は植物由来の原料を用いた化学合成法、または微生物を用いた発酵法により生産されているが、その需要は増加の一途をたどっており、さらなる増産が期待されている。そこで我々は、これまでにない新たなCoQ10生産方法の開発を目指した。

図1
成果の内容・特徴
  1. CoQ10を作るグルコン酸菌(Gluconobacter suboxydans)由来のCoQ合成酵素の一つであるプレニル2リン酸合成酵素(DdsA)の遺伝子をアグロバクテリウム法によりイネの核ゲノムに導入し、ミトコンドリアにおいて過剰発現させた。
  2. 得られた形質転換イネの葉においてDdsAタンパク質が高蓄積していた。
  3. 形質転換イネについて、葉身におけるCoQ含量をHPLC解析により測定した(図2A,B)。通常のイネは、ほぼCoQ9のみを含んでいた(図2A)のに対し、形質転換イネはCoQ9はほとんど含まず、ほぼCoQ10のみを含んでいた(図2B)。
  4. 図2Bの解析に用いた形質転換イネの後代の玄米におけるCoQ含量をHPLC解析により測定した(図2C,D)。通常のイネ玄米はCoQ9のみを含んでいた(図2C)のに対し、形質転換イネ玄米はCoQ9はほとんど含まず、ほぼCoQ10のみを含んでおり(図2D)、CoQ強化米の作出に成功した。

図2
成果の活用面・留意点
  1. CoQ10は熱に比較的安定(240℃以下では安定)であることから、炊飯などの調理法では分解する心配がなく、玄米炊飯によるCoQ10摂食の可能性が示された。CoQ10強化米の利用の可能性を探りたい。
  2. 玄米中のCoQ10含量をさらに高めたい。
図表1 226401-1.jpg
図表2 226401-2.jpg
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