細胞内発現抗体(イントラボディ)を用いたタンパク質機能ドメイン解析法の開発

タイトル 細胞内発現抗体(イントラボディ)を用いたタンパク質機能ドメイン解析法の開発
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 1999~2003
研究担当者 佐藤充
木谷裕
関川賢二
発行年度 2005
要約 T細胞の免疫応答シグナル伝達に重要な機能を持つ分子Wiskott-Aldrich syndrome protein (WASP)の特定ドメインに特異的に結合するイントラボディを開発し、それらを発現するトランスジェニックマウスを作出した。イントラボディの発現により、これらのマウスのT細胞におけるインターロイキン2の産生が特異的に阻害された。
キーワード
イントラボディ、一本鎖抗体、トランスジェニックマウス、T細胞シグナル伝達、ドメイン機能阻害
背景・ねらい タンパク質の構造と機能の解析はポストゲノム研究の重要な標的である。多くのタンパク質は構造的にいくつかのドメインから構成され、各ドメインはそれぞれ特異的な機能を分担している。本研究では、細胞内でタンパク質の特定機能ドメインに結合する一本鎖型イントラボディDNAを構築し、それらを導入したトランスジェニック(Tg)マウスを作出してマウス個体レベルでの新たなタンパク質機能阻害法の開発を目指した。
成果の内容・特徴
  1. 細胞内分子WASPのEVH1ドメインに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞より、抗体のH鎖およびL鎖の可変領域 (VHおよびVL)の遺伝子をそれぞれ単離し、それらを連結して一本鎖型(scFv)イントラボディを構築した(図1)。
  2. 一本鎖型イントラボディDNAをマウス受精卵に注入し、それらを発現するTgマウスを作出した。同Tgマウスの脾臓よりT細胞を精製し、T細胞抗原レセプターに対する抗体で刺激を加えたところ、レセプター刺激に伴う細胞骨格再編は正常に起こったが、T細胞の活性化に重要なサイトカインであるインターロイキン2(IL-2)の産生が顕著に阻害された(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で成功したイントラボディによるドメイン特異的機能阻害は、ポストゲノム研究における新たなタンパク質機能解析法のツールとして期待される。
  2. 細胞内でより安定で、より特異性の高いイントラボディを構築する。
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