タイトル | イネ遺伝子の改変によるトリプトファン含量の向上と選択マーカー用薬剤耐性の付与 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 作物研究所 |
研究期間 | 1995~2001 |
研究担当者 |
戸澤譲(三菱化学生命研) 寺川輝彦(北興化学) 若狭暁 長谷川久和(北興化学) |
発行年度 | 2001 |
要約 | 遺伝子改変によりフィードバック阻害をはずしたアントラニル酸合成酵素αサブユニットの遺伝子を導入した組換えイネは、トリプトファン含量が増大するとともに、薬剤耐性となり、選択マーカーとして利用できる。 |
キーワード | イネ遺伝子、組換え体、トリプトファン、薬剤耐性、選択マーカー |
背景・ねらい | 必須アミノ酸であるトリプトファンは、リジンやメチオニンに続いて合成アミノ酸が飼料添加物として利用されている。トリプトファンの生合成制御は、最終産物であるトリプトファンが合成酵素活性をフィードバック阻害することにより行われている。そこでトリプトファン合成系の鍵酵素であるアントラニル酸合成酵素のαサブユニット遺伝子を改変してフィードバック制御を受けない改変型酵素遺伝子を作製し、イネに導入してトリプトファンの蓄積とトリプトファン類似物質に対する耐性の付与を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 2個のイネアントラニル酸合成酵素αサブユニット遺伝子(OASA1、2)のうち、OASA1遺伝子を用いて、部位特異的突然変異法により1個のアミノ酸を置換した複数の改変型酵素遺伝子が作製され、これをアグロバクテリウム法でイネに導入した形質転換体が作出されている。 2. 改変型酵素のうち、323番目のアスパラギン酸をアスパラギンに置換したOASA1D を導入したイネは、表1に示すように遊離トリプトファン含量がカルスで大きく増加する。葉でも約30倍に増加する。 3. さらに、これを導入したカルスは、トリプトファン類似物質である5-メチルトリプトファン(5MT)に抵抗性となる(図1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. トリプトファン合成系の制御機構は植物共通なので、OASA1改変型酵素遺伝子によるトリプトファンの蓄積効果はイネ以外の作物にも適用できる。 2. トリプトファンの蓄積により、作物の栄養価の改善が期待される。 3. この改変酵素遺伝子は5MT耐性であることから、薬剤として5MTなどを使用することにより、抗生物質に代わる植物由来の新規の形質転換体選択マーカーとして利用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 抵抗性 薬剤 薬剤耐性 |