タイトル |
極良食味の水稲新品種「イクヒカリ」 |
担当機関 |
福井県農業試験場 |
研究期間 |
1990~2002 |
研究担当者 |
堀内久満
冨田 桂
寺田和弘
田中 勲
小林麻子
田野井 真
見延敏幸
古田秀雄
山本明志
篠山治恵
池田郁美
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発行年度 |
2003 |
要約 |
水稲「イクヒカリ」は寒冷地南部では中生の早に属する粳系統である。米飯は粘りがあって、「コシヒカリ」と同等の極良食味であり、特に、冷めたときには「コシヒカリ」に優る。直播栽培にも適する。福井県、鹿児島県で奨励品種に採用される。
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キーワード |
水稲、イクヒカリ、粳、極良食味、直播栽培、福井県、鹿児島県
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背景・ねらい |
北陸地域で中生に属する「コシヒカリ」は極良食味で市場評価が高く、1品種集中化が進んでいる。しかし、「コシヒカリ」は倒伏に弱く、いもち病に劣る欠点がある。また、収穫作業や乾燥利用施設の競合、病害虫や気象災害の集中被害などの問題もでている。 そこで、中生の栽培特性の優れた極良食味品種を育成し、良食味米生産に寄与する。
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成果の内容・特徴 |
- 「イクヒカリ」は1990年に福井農試で中生の極良食味で直播栽培にも適する品種を育成する目的で交配した越南148号/北陸148号(後のどんとこい)の組合せから育成された粳系統である。アミロ-ス含量と穂発芽性を検定しながら、選抜・固定を図った。
- 食味は粘りがあって「コシヒカリ」と同等で、極めて良い。特に冷えた時には「コシヒカリ」を上回る。(以上表1)
- 「コシヒカリ」に比べ出穂期、成熟期とも2日ほど早く、育成地では中生の早に属する。
- 「コシヒカリ」に比べ稈長は15cmほど短く、穂長はわずかに短く、穂数は同程度で、草型は中間型である。耐倒伏性は「コシヒカリ」に比べ明らかに強く、「キヌヒカリ」と同等である。
- 収量性は例年安定しており、移植栽培では「コシヒカリ」や「キヌヒカリ」より多収である。直播栽培では「キヌヒカリ」と同等である。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型はPita-2とPiiと推定され、葉いもち、穂いもち圃場抵抗性とも中である。白葉枯病圃場抵抗性は中、縞葉枯病には罹病性である。穂発芽性は難である。
- 精米のアミロ-ス含量は「コシヒカリ」より約1ポイント低く、タンパク質含量は同程度である
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成果の活用面・留意点 |
- 適応地域は北陸・関東以西および暖地の早期栽培地帯である。
- 福井県では県下全域の「キヌヒカリ」といもち病常発地帯の「コシヒカリ」および直播栽培対象品種に替えて普及を予定している。鹿児島県では早期栽培の「コシヒカリ」の一部に替えて普及する予定である。
- 病原性のいもち病菌には侵されるので、その発生に注意し、発病を認めたらかならず適期に防除する。
- 倒伏には比較的強いが、多肥栽培を避けるとともに、水管理を徹底し、玄米品質や食味を落とさないように留意する。
- 直播栽培を行う場合は、十分に芽出ししてから播種する。
- 耐冷性がやや弱なので、冷害が心配される地帯は除く。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
害虫
乾燥
直播栽培
縞葉枯病
新品種
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
凍害
播種
品種
防除
水管理
良食味
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