大麦の開閉花受粉性および条性等の穂形質が赤かび病抵抗性に及ぼす影響

タイトル 大麦の開閉花受粉性および条性等の穂形質が赤かび病抵抗性に及ぼす影響
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所
研究期間 2000~2003
研究担当者 吉田めぐみ
河田尚之
塔野岡卓司
吉岡藤治
発行年度 2003
要約 大麦の赤かび病抵抗性に対する開閉花受粉性および条性等の各種穂形質の効果を、準同質遺伝子系統を用いて解析した。開花受粉性および六条性は抵抗性を弱めるが、条性の影響は小さく、二条大麦品種の抵抗性は閉花受粉性等条性以外の形質の効果が大きい。渦性、穂密度、側列欠条性、ロウ質の有無は抵抗性にほとんど影響しない。
キーワード オオムギ、赤かび病、抵抗性、開閉花受粉性、条性、準同質遺伝子系統
背景・ねらい  赤かび病は麦類の最重要病害であるが、免疫的抵抗性遺伝資源がなく抵抗性育種が困難となっている。大麦では二条品種に比べ六条品種の抵抗性が弱いことから、条性等の穂形質が本病抵抗性に関与する可能性が示唆されており、主要な穂形質が本病抵抗性に及ぼす影響を明らかにすることは、抵抗性を評価する上で重要である。そこで、大麦の開閉花受粉性、条性、並渦性、穂密度、側列欠条性(条性の複対立遺伝子で側列小花がほぼ完全に退化する形質)、ロウ質の有無についての準同質遺伝子系統を育成し、これらの穂形質が赤かび病抵抗性に及ぼす効果を解析する。
成果の内容・特徴 1.
大麦の各種穂形質の準同質遺伝子系統を育成し、ポット検定法及び切り穂検定法により赤かび病抵抗性を検定し、赤かび病に対する穂形質の効果を解析した。
2.
開閉花受粉性と条性の系統間で発病程度に有意な差が認められ、開花受粉性および六条性は赤かび病抵抗性を弱め、その効果は開花受粉性の方が大きい(表1)。
3.
二条大麦と六条大麦の品種群間の抵抗性を比較すると、条性自体が抵抗性に及ぼす影響は小さく(図1)、二条品種の持つ抵抗性は、閉花受粉性等条性以外の効果が大きい。
4.
並渦性、穂密度、側列欠条性、穂のロウ質の有無については、赤かび病抵抗性に対する影響が判然としないか認められず(表1)、これらの形質が抵抗性に及ぼす影響は、無いか条性の影響よりも小さい。
成果の活用面・留意点 1.
赤かび病の感染に最も重要な時期とされる開花期における感染抵抗性を、ポット検定法及び切り穂検定法により検定した結果である。病原には赤かび病菌Fusarium graminearumH-3菌株を用いた。
2.
二条大麦品種の持つ抵抗性は、条性よりも閉花受粉性および他の形質の効果が大きいと考えられ、これらの形質の導入による、二条大麦品種並の抵抗性を備えた六条大麦品種育成の可能性を示した。
3.
一部の六条大麦品種では不完全な開花受粉性を示すものがあり、開閉花受粉性の判定が困難な場合があるので、選抜時には注意を要する。
4.
本研究で用いた準同質遺伝子系統の親品種および原品種はすべて抵抗性やや強の二条大麦品種であるため、抵抗性を高める効果については検出されにくい可能性がある。
図表1 226511-1.gif
図表2 226511-2.gif
カテゴリ 育種 遺伝資源 大麦 受粉 抵抗性 品種

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる