タイトル |
極良食味で多収の暖地向き晩生水稲新品種候補系統「南海157号」 |
担当機関 |
宮崎県総農試 |
研究期間 |
1994~2004 |
研究担当者 |
井場良一
加藤浩
吉岡秀樹
黒木智
三枝大樹
山下浩
若杉佳司
上田重英
竹田博文
中原孝博
堤省一朗
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発行年度 |
2004 |
要約 |
水稲「南海157号」は、ユメヒカリ熟期の晩生の粳種として宮崎県で普及予定である。食味は「ヒノヒカリ」並の極良食味である。縞葉枯病の抵抗性をもち、耐倒伏性に優れ、「ユメヒカリ」より多収である。
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キーワード |
イネ、新品種、晩生の晩、粳、南海157号
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背景・ねらい |
現在、普通期水稲地帯では、中生の「ヒノヒカリ」の作付面積が91%を占め、作業受委託等の進む中、収穫や乾燥調製作業の集中、競合などが大きな問題となっている。また、近年は温暖化や台風等の気象災害等による収量、品質、食味への影響が生じており対策が急務となっている。 そこで、熟期分散に適した晩生の多収、極良食味で耐倒伏性に優れた品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「南海157号」は1994年に宮崎県総合農業試験場において、中~晩生、極良食味品種の育成を目標に中生、極良食味の「南海132号」を母とし、晩生、極良食味の「南海127号」(「かりの舞」)を父として人工交配を行った組合せから育成された粳系統である。(表1)
- 「ユメヒカリ」に比べ、出穂期は4日、成熟期は4日遅く、育成地では“晩生の晩”(ミナミヒカリ級)に属する。(表1)
- 稈長は「ユメヒカリ」よりやや短く、穂長及び穂数は同程度で、草型は“中間型”である。(表1)
- 耐倒伏性は強く、「ユメヒカリ」より強い“強”である。葉いもち抵抗性は“中”、穂いもち抵抗性は“やや強”、真性抵抗性は“Pi-a,Pi-i”をもつと推定される。白葉枯病抵抗性は“弱”である。縞葉枯病には抵抗性である。(表1)
- 穂発芽性は“難”、脱粒性は“難”で、玄米収量は「ユメヒカリ」より多収で、「ヒノヒカリ」並みである。(表1)
- 玄米の形状は“中”、粒大も“中”で、千粒重は「ユメヒカリ」と同程度で、年によってはやや腹白、 乳白の発生があり、外観品質は「ユメヒカリ」並である。(表1)
- 食味は、「ヒノヒカリ」並の極良食味である。(表1)
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成果の活用面・留意点 |
- 晩生の晩、縞葉枯病の抵抗性をもち極良食味の特徴から、「南海157号」は、暖地の平坦地に適すると思われる。
- 宮崎県の奨励品種として晩生品種「かりの舞」、「ユメヒカリ」と、県南西部及び中北部の平坦地で作付けされている「ヒノヒカリ」の一部に替えて普及予定であり、普及見込み面積は2,800haである。
- 白葉枯病に弱いため常発地での栽培は避け、河川の氾濫等による冠水時は適切な防除を行う。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
縞葉枯病
新品種
水稲
抵抗性
品種
防除
良食味
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