タイトル |
極良食味で良質の暖地向き中生水稲新品種候補系統「にこまる(西海250号)」 |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
1996~2004 |
研究担当者 |
坂井 真
梶 亮太
田村克徳
岡本正弘
西村 実
八木忠之
溝淵律子
平林秀介
深浦壮一
富松高治
山口末次
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発行年度 |
2004 |
要約 |
「にこまる(西海250号)」は、「ヒノヒカリ」熟期の中生の粳種である。食味は「コシヒカリ」並の極良食味である。外観品質は高温年でも安定して「ヒノヒカリ」より優れる。「かりの舞」と「ヒノヒカリ」の一部に代えて長崎県で普及予定である。
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キーワード |
イネ、外観品質、良食味、中生
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背景・ねらい |
九州では、中生の良食味水稲品種「ヒノヒカリ」に作付けが集中しているが、平坦地の「ヒノヒカリ」は気候温暖化の影響を受け、高温による品質低下が生じている。このため、外観品質が優れる極良食味、多収の中生品種を早急に開発する必要がある。
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成果の内容・特徴 |
- 「西海250号」は1996年に九州農業試験場において、多収、良食味品種の育成を目標に早生、多収、良食味の「は系626」(後の「西海232号」)を母とし、早生、多収、極良食味の「北陸174号」を父として人工交配を行った組合せから育成された粳系統である(表1)。
- ヒノヒカリ」に比べ、出穂期、成熟期ともに1、2日程度遅く、九州北部の普通期では“中生の中”の熟期である(表1)。
- 稈長は「ヒノヒカリ」よりやや短く、穂数は少なく、草型は“偏穂重型”である。「ヒノヒカリ」より倒伏しにくく、耐倒伏性は“中”である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pia, Pii”を持つと推定される。葉いもちおよび穂いもち圃場抵抗性はともに“やや弱”で、いずれも「ヒノヒカリ」並である。白葉枯病抵抗性は「ヒノヒカリ」よりやや強く“中”である。穂発芽性は“中”である(表1)。
- 収量は「ヒノヒカリ」をやや上回る(表1)。千粒重は23g程度で「ヒノヒカリ」よりやや大きい(表1)。搗精歩留まりは高い(表1)。
- 白米のタンパク質含有率は「ヒノヒカリ」より低い(表1)。
- 玄米の外観品質は「ヒノヒカリ」より優れ、“上中”である(表1、写真1)。3ヶ年の奨励品種決定調査の成績においても「ヒノヒカリ」より安定して優れている(図1)。
- 食味は「コシヒカリ」、「ヒノヒカリ」並の“上中”である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 中生の多収、良食味品種として暖地および温暖地の平坦部に適する。
- 長崎県の奨励品種として晩生品種「かりの舞」と、県央、県南部の平坦地で作付けされている「ヒノヒカリ」の一部に替えて普及予定であり、普及見込み面積は1100haである。
- いもち病にはやや弱いので、発生が見られた場合は的確な防除を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
新品種
水稲
多収良食味
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
良食味
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