大麦胚乳の硬軟質性には細胞壁多糖類の含量が関与する

タイトル 大麦胚乳の硬軟質性には細胞壁多糖類の含量が関与する
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所
研究期間 2002~2003
研究担当者 河田尚之
吉岡藤治
吉田めぐみ
塔野岡卓司
発行年度 2004
要約 大麦の精麦品質として重要な胚乳の硬軟質性には、胚乳細胞壁の主要な多糖であるβ-グルカンとアラビノキシランの含量が関与し、これらの含量が高いと胚乳が硬質化する。
キーワード オオムギ、精麦品質、硬軟質性、細胞壁多糖、食物繊維
背景・ねらい 麦飯用等の食用大麦の品質では、高白度で色相が優れることに加え、搗精加工上、胚乳が軟質であることが重要である。胚乳の硬軟質性には、蛋白質含量や硝子率が関係するという報告があるが、糯・粳性と硬軟質性の関係を解析した研究では、胚乳細胞壁多糖含量の関与を示唆する結果が得られている。そこで、蛋白質含量及び硝子率と硬軟質性との関係を検証するとともに、硬軟質性と胚乳細胞壁多糖含量との関係を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
蛋白質含量は硝子率と、硝子率は硬軟質性と有意な正の相関がある。硝子率が高いと胚乳が硬質化するが、硬軟質性は蛋白質含量の影響を受けない(表2)。
2.
高蛋白質で高硝子率となる畑栽培及び低蛋白質で低硝子率の水田栽培の両方の条件(表1)において、硬軟質性は、胚乳細胞壁の主要な構成多糖であるβ-グルカンとアラビノキシランそれぞれの含量と有意な正の相関がある。 (図1、図2)。
3.
以上のように、大麦胚乳の硬軟質性には、蛋白質含量よりも、細胞壁多糖であるβ-グルカン、アラビノキシランの含量が関係し、これらの多糖の含量が高いと胚乳が硬質化し、搗精に要する時間が長くなる。
成果の活用面・留意点 1.
β-グルカンは食物繊維として有用な機能性成分であるが、β-グルカンの高含量化を育種目標とする場合、胚乳の硬質化と搗精時間増加という不良形質の付与につながる。
2.
細胞壁多糖類と硬軟質性の相関は品種間でのものであり、栽培条件等により同一品種内で生じる硬軟質性の差については未解明である。
図表1 226586-1.gif
図表2 226586-2.gif
図表3 226586-3.gif
図表4 226586-4.gif
図表5 226586-5.gif
カテゴリ 育種 大麦 加工 機能性成分 栽培条件 水田 品種

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