多収・良食味で穂発芽性難の新品種候補系統「西南糯118号」

タイトル 多収・良食味で穂発芽性難の新品種候補系統「西南糯118号」
担当機関 鹿児島県農業開発総合センター
研究期間 1995~2007
研究担当者 小牧有三
大内田真
福井清美
矢頭治
桑原浩和
重水剛
佐藤光徳
四藏文夫
森浩一郎
長谷健
発行年度 2007
要約 「西南糯118号」は暖地では早生に属し、多収で穂発芽性難の糯系統である。餅やおこわに加工した場合の食味が良い。
キーワード 糯、多収、良食味、穂発芽性
背景・ねらい   西南暖地の早期栽培地帯で作付けされている糯品種「峰の雪もち」は、短強稈・多収で良質・良食味であるが、耐穂発芽性、いもち病抵抗性が不充分である。また、ふ先色が無いため粳品種との識別が困難で、種子生産現場や種子流通上の問題がある。また、沖縄県では糯米のおこわとしての利用が多く、現在栽培されている「ウルマモチ」はおこわの食味がやや劣るため、食味の優れた品種が求められている。
 そこで、「峰の雪もち」より耐穂発芽性、いもち病抵抗性等を強化し、「峰の雪もち」並の良食味で、ふ先色を備えた多収の糯品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「西南糯118号」は、1995年にいもち病抵抗性が強く穂発芽性難の多収糯系統「奥羽糯347号」を母とし、いもち病抵抗性、耐倒伏性が強い粳系統の「ふ系176号」を父として人工交配を行った組合せ後代から育成した糯系統である。
  2. 出穂期・成熟期は「峰の雪もち」より3日程度遅く、育成地では“早生”に属する(表1)。
  3. 稈長は「峰の雪もち」より12cm程度長い“中”で、耐倒伏性は「峰の雪もち」よりやや劣るが“やや強”である(表1)。
  4. 穂長は「峰の雪もち」と同程度の“中”、穂数は「峰の雪もち」よりやや少ない“やや少”、粒着密度は「峰の雪もち」よりやや密の“密”で、草型は“偏穂重型”である(表1)。
  5. ふ先色は“褐”で粳品種との識別性があり、芒は短く、発生は“少”である(表1)。
  6. 収量性は「峰の雪もち」より高く、千粒重は「峰の雪もち」並の“やや大”、玄米外観品質は「峰の雪もち」よりやや劣る“中上”である (表1)。
  7. 穂発芽性は「峰の雪もち」より強く“難”、いもち病ほ場抵抗性は「峰の雪もち」よりやや強く、葉いもち抵抗性が“やや強”、穂いもち抵抗性が“中”である。障害型耐冷性は「峰の雪もち」並の“中”である (表1)。
  8. 餅やおこわの外観は「峰の雪もち」よりやや劣るが、「ウルマモチ」と同程度である。食味は「峰の雪もち」並の良食味で、「ウルマモチ」より優れる。餅の硬化速度は「峰の雪もち」並である(表1)(表2)(表3)   
  9. 奨励品種採用予定である沖縄県では、「ウルマモチ」に比べ、穂発芽性が“難”で、千粒重が重く、収量性が高い。また、玄米外観品質が優れ、おこわの食味が良い(表1)
成果の活用面・留意点
  1. 適応地域は、沖縄県および温暖地・暖地の早期栽培地帯である。
  2. 沖縄県で「ウルマモチ」に替えて奨励品種に採用予定である。
  3. 沖縄県では糯米のおこわとしての利用も多く、おこわ向けの利用も期待できる。
  4. 穂いもち病抵抗性が“中”であり、過剰な施肥を避け、適期防除を行う。
図表1 226639-2.JPG
図表2 226639-3.JPG
カテゴリ 病害虫 いもち病 加工 新品種 施肥 多収良食味 抵抗性 品種 防除 良食味

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