タイトル | 品種選定によるトウモロコシのミネラルバランスの改善及び窒素吸収量の向上 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 1996~2001 |
研究担当者 |
原田久富美 須永義人 畠中哲哉 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 飼料用トウモロコシのK、Ca、Mg、N、P濃度においては品種間差が認められる。CaあるいはMg濃度の高い品種の選択によりミネラルバランス(K/(Ca+Mg)当量比)の改善、乾物収量の高い品種の利用により窒素吸収量の向上が期待できる。 |
キーワード | トウモロコシ、窒素、肥料、品種間差、変異、ミネラルバランス、無機成分 |
背景・ねらい | 飼料作物中の無機成分の濃度は家畜の健康に大きな影響を与える。現在、自給飼料生産においては家畜ふん尿主体の施肥管理が行われているが、過剰な施用や不適切な施用は飼料のミネラルバランスを悪化させ、ふん尿由来窒素の環境への流亡を増加させるおそれがある。そこで、トウモロコシの無機成分濃度における品種間差を検討し、ミネラルバランスの改善及び窒素吸収量の増大に向けた品種選択のための基礎的知見を得る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 市販トウモロコシ21品種の2年間の栽培試験の結果、地上部のK、Ca、Mg、P、N濃度及びK/(Ca+Mg)当量比には、分散分析により品種間差が認められ、有意な年次間の相関関係も確認された(図1)。これら無機成分濃度の違いは品種の特性によるものと判断された。 2. トウモロコシ体の無機成分濃度の品種間差は、子実、茎、葉割合の違いではなく、主として茎葉部における無機成分濃度の違いに起因していた(表1)。 3. 無機成分濃度における相互関係として、KとNO3-N(r=0.565, p0.05)、MgとP(r=0.509, p0.05)濃度に弱い相関が認められたが、吸収に拮抗作用があることで知られるKとCa、Mg間には有意な相関関係は認められなかった。 4. 飼料のミネラルバランスとして重要なK/(Ca+Mg)当量比を低くするためには、CaあるいはMg濃度の高い品種を選択する(図2)。 5. 作物全体のK、Ca、Mg、P吸収量はそれぞれの成分濃度との相関が高いが、N吸収量は乾物収量との相関が高い。従って、施肥窒素の窒素吸収量を向上させるためには、乾物収量が高い品種を利用することが重要である(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 自給飼料のミネラルバランスの改善、窒素吸収量の増大を考える上で利用できる基礎的知見である。 2. トウモロコシは品種の交代が早いので、供試品種のいくつかはすでに入手困難となっている。具体的な品種名については論文を参考にされたい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 飼料作物 飼料用作物 施肥 とうもろこし 品種 |