タイトル | 妊娠早期の牛における血漿中エストロジェン濃度の推移 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 1999~2005 |
研究担当者 |
高橋 透 高橋ひとみ 平子 誠 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 妊娠牛の末梢血中では授精後50日頃から受胎産物に由来するエストロンサルフェートの濃度が増加し始める。その濃度は単胎も双胎も同じ時期に上昇を開始するが、上昇率は双胎牛の方が高い。一方、他のエストロジェンは妊娠80日頃から上昇し始める。 |
キーワード | 牛、繁殖、体外受精胚移植、妊娠、エストロンサルフェート、双胎 |
背景・ねらい | 妊娠牛の末梢血中エストロンサルフェートは主に胎盤に由来しており、妊娠中後期にはその濃度が胎子の情報を知る手段として活用できることが知られている。しかし、妊娠早期には濃度が低く、その出現時期や濃度推移は知られていなかった。そこで、高感度の測定法を開発し、妊娠早期における血中のエストロンサルフェート濃度の測定を行った |
成果の内容・特徴 | 1. 人工授精により妊娠したホルスタイン種未経産牛5頭を供試し、排卵確認後30日まで5日間隔、30~80日は隔日、80~100日は再び5日間隔で採血を行い、血漿中のエストロン、エストラジオール-17βおよびエストロンサルフェートの濃度を測定した(図1)。牛の末梢血中エストロジェン濃度は妊娠50日頃まで低値で推移し、妊娠による変化は認められなかった。50日以降まずエストロンサルフェートの濃度が他のエストロジェンに先駆けて徐々に増加し、妊娠80日以降急激に上昇した。エストロンとエストラジオール-17βの濃度は妊娠80日以降上昇を開始したが、80日以降の上昇率もエストロンサルフェートが最も高く、エストロンがそれに次ぎ、エストラジオール-17βの濃度が最も緩慢に上昇した。 2. 体外受精胚移植により単胎および双胎妊娠したホルスタイン種経産牛をそれぞれ6頭ずつ供試し、移植(発情後7日)翌日から妊娠100日まで隔日の採血を行い、血漿中のエストロンサルフェートの濃度を測定した(図2)。末梢血中のエストロンサルフェート濃度は、人工授精の場合と同様妊娠50日頃まで低値で推移し、その後徐々に上昇し、妊娠80日以降急激に上昇した。妊娠50日以降の濃度は双胎妊娠牛の方が単胎牛より有意(P0.05)に高く、妊娠時期と有意(P0.001)な相関を示した。 |
成果の活用面・留意点 | 1. この判定法を用いることにより、食肉の赤色度、退色割合、脂質酸化度が非破壊で短時間(約10秒)かつ正確にわかるので、流通および販売時における食肉の鮮度の客観的な評価に役立つ。 2. 本成果の鮮度の指標には微生物学的変化と核酸関連物質の分解割合(K値)を含めていない。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 繁殖性改善 |