タイトル | 反すう家畜の第一胃内に生息するメタン細菌の簡易検出法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2001~2001 |
研究担当者 |
梶川博 栗原光規 三森眞琴 田島清 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 反すう家畜の第一胃(ルーメン)に生息するメタン細菌を一本鎖DNAを用いたSSCP法で解析した。さらに競合的PCR法によりメタン細菌の定量を行った。 |
キーワード | ルーメン、メタン細菌、簡易検出法、動物栄養、乳用牛、肉用牛、めん羊 |
背景・ねらい | 反すう家畜のルーメン内に生息するメタン細菌は、地球温暖化の原因となるメタンを産生する反面、他のルーメン細菌が産生する水素を除去することにより適正なルーメン発酵の維持に貢献している。しかし、これまでのメタン細菌検出法は培養法によるもので、特殊な培養装置と多大な労力と時間を要するものである。そこで、本研究では分子生物学的手法によるメタン細菌の簡易検出法の開発を試みた。 |
成果の内容・特徴 | 1. ルーメン内容物からDNAを抽出し、PCR法によりメタン細菌に特異的な16S rDNA断片(約460bp)を増幅させた。このDNA断片を電気泳動法の一法であるSSCP法で解析することを試みた。通常のSSCP法では2本鎖DNAで解析を行うが、ルーメンから採取したサンプルは多種類のメタン菌の混合物であることから、多くのバンドの出現により解析不能となると推定された。そこで、1本鎖DNAで解析することによりバンドを単純化することとした。1本鎖DNAを調製するために、二つのPCRプライマーのうち一つのプライマーの5ユ末端にリン酸基を導入し、ラムダエクソニュークレアーゼ処理を可能とさせた。この方法により調製した一本鎖DNAをSSCP法で解析したところ、単純なバンドパターンが得られた(図1)。個々のバンドのDNAについてシークエンスした結果、ルーメン内の主要なメタン細菌と従来の培養法では検出されなかったいくつかの菌種が検出された。 2. ルーメン内メタン細菌を定量するために、競合的PCR法の開発を試みた。標的遺伝子は上記のSSCP法と同じものとした。まず、競合的PCR法に必要なコンペティター(580bp)を作成した。これとルーメン内容物から抽出したDNAとを混合して競合的PCR法を実施した。増幅したDNAをアガロース電気泳動により解析した結果、定量性のある成績が得られた(図2)。このことから、本法によるメタン細菌の定量が可能となった。 |
成果の活用面・留意点 | 1. SSCP法によるメタン細菌の検出には、ゲル上のDNAバンドを切り出して塩基配列を決定する必要がある。今後、菌種を示すマーカーを作成する予定である。 2. 競合的PCR法によるメタン細菌の定量値は、培養法による定量値とは必ずしも一致しない。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 肉牛 羊 |