タイトル | 酸性フクシン染色を用いたエンドファイトの光学顕微鏡による検出法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
月星隆雄 御子柴義郎 菅原幸哉 大久保博人 島貫忠幸 |
発行年度 | 2001 |
要約 | イネ科植物の葉鞘組織片を、酸性フクシンを含む乳酸で染色・封入し、開口絞りを開放して検鏡することで従来の染色法よりも鮮明なエンドファイトの菌体像が得られ、その検出がより容易となる。検出対象は、葉鞘組織だけでなく種子も可能である。 |
キーワード | 作物病害、他のイネ科牧草、エンドファイト、光学顕微鏡、酸性フクシン染色、 開口絞り開放 |
背景・ねらい | エンドファイト(内生菌)が感染したイネ科植物は耐病虫性、環境ストレス耐性が、賦与される一方、家畜毒性物質が蓄積されるため、感染の有無を識別することは様々な現場で必要とされている。近年、血清学的診断やDNAレベルの診断も実施されつつある。一方、光学顕微鏡による直接検出は、迅速性、経済性に優れるが、染色程度が十分でないなど従来の手法には再検討すべき余地があり、より容易な検出に向けて改良を試みた。 |
成果の内容・特徴 | 1. プレパラート上で葉鞘裏面から、はく離した表層組織片に0.1%酸性フクシンを含む乳酸を染色・封入剤として滴下し、標本を作製する。標本は封入直後から検鏡可能である。上記標本を光学顕微鏡下で開口絞りを適正位置にして一度組織に焦点を合わせてから(図-1)、この絞りを開放にして染色部分の有無を観察する(図-2)。 2. 種子の場合は、標本作製時に押しつぶし易くするため、2.5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して膨潤処理し、水洗後に本染色・封入剤を滴下して標本を作製する(図-3)。 3. 本法は、酸性フクシンがエンドファイトの菌体を濃染し、それ以外の構造は強く染色しないことで、ローズベンガルなど従来の本菌への適用に優れる点(図-4)、ならびに顕微鏡の絞り開放により葉鞘組織の細胞壁などの構造が視野から消えて、鮮明なエンドファイトの菌体像のみが得られる点に、改良の特徴がある。 4. 本法は、封入剤として乳酸を用いているので、標本は少なくとも1年間程度の保存が可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 牧草や芝草の種苗生産、家畜衛生、草地管理、ならびに輸出入検査などに関わる諸機関での活用が期待できる。 2. 絞り開放時には焦点深度が極めて浅くなるので、微動ハンドルを適宜操作して、焦点面を変えながら観察する。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 飼育技術 輸出 |