牛乳分析用赤外分光分析器を用いた牛乳リポリシスの簡易判定法

タイトル 牛乳分析用赤外分光分析器を用いた牛乳リポリシスの簡易判定法
担当機関 上席研究官
研究期間 2001~2002
研究担当者 橘内克弘
鈴木一郎
発行年度 2002
要約 牛乳分析用赤外分光分析器を用いて、牛乳脂肪含量を二波長で測定することにより、牛乳の脂肪加水分解(リポリシス)の有無を簡易に判定することが可能である。
キーワード 畜産物・品質、乳用牛、牛乳分析用赤外分光分析器、リポリシス、簡易判定
背景・ねらい
牛乳の脂肪加水分解(リポリシス)によって発生する遊離脂肪酸臭は、牛乳風味の代表的欠陥であるが、牛乳生産の現場では、その判定についてはほとんど取り上げられていない。そこで、本研究において、リポリシスの度合いを、牛乳分析用赤外分光分析器を用いて簡易に判定する方法を開発する

成果の内容・特徴
1.
牛乳にリパーゼを添加して人為的リポリシスを誘導することにより、牛乳分析用赤外分光分析器において牛乳脂肪含量の測定に用いる二波長での測定値(5.7μmでの測定値をFat
A、3.5μmでの測定値をFat Bと称する)のうち、Fat Aの値が著しく低下する(図1A)。
2.
人為的リポリシスの誘導により、5.7μm近傍の吸光値が著しく低下する。牛乳分析用赤外分光分析器における各種成分の測定は、極めて狭い波長域で行っているため、このスペクトルで見られる5.7μm近傍の吸光値の低下によって、Fat
Aの変化の理由が説明できると考えられる。(図1B)。
3.
人為的リポリシスを誘導した牛乳では、Fat B/Fat A値と遊離脂肪酸量はいずれも経時的に増加する(図2)。また、人為的リポリシスを誘導しない個体乳においてもFat
B/Fat A値と遊離脂肪酸量には正の相関が認められる(図3)。正常な牛乳では、遊離脂肪酸量はおおむね10
mg/L以下であるのが通常であるが、Fat B/Fat A値が1.05以上の個体乳についてはおおむね80%以上が10 mg/Lを上回っており、リポリシスの発生が疑われた。
4.
以上の結果から、牛乳分析用赤外分光分析器を用いた、Fat B/Fat A値を指標とする牛乳リポリシスの簡易判定が可能であると考えられる。
成果の活用面・留意点
1.
本法の最大の特徴は、生乳検査の現場で広く用いられている、牛乳分析用赤外分光分析器(ミルコスキャン等)の他に特別な機器を必要とせずに、牛乳リポリシスを簡易に判定できることにある。
2.
Fat B/Fat A値が高くてもリポリシスの発生していない個体も散見されるため、本法は最終判定ではなく一次判定に用いるのが適当であると考えられる。
図表1 226775-1.gif
図表2 226775-2.gif
図表3 226775-3.gif
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