タイトル | 無洗米糠の反芻家畜用飼料としての栄養価値 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
永西 修 川島知之 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 無洗米糠は生米糠に比べ繊維含量が粗脂肪含量が低く、デンプン含量が高い。無洗米糠は生米糠に比べ第一胃内での乾物、粗タンパク質およびデンプン消失率が高く、かつ、消失速度も速い。また、無洗米糠のTDNは95%前後で高エネルギー飼料である。 |
キーワード | 栄養価値、飼料利用、第一胃内消化性、肉用牛、乳牛、無洗米糠 |
背景・ねらい | 近年、食生活の簡便化や高品質化に伴い、米を洗わないで炊飯できる無洗米の消費量が急速に増加している。無洗米の製造時には1-2%の糠を主体とした製造副産物が産出するものの、有効利用については十分に検討されていない。製造副産物の利用を積極的に図ることは飼料自給率の向上ばかりではなく、資源循環型ならびに環境保全型の畜産を展開させていく上でも重要である。そこで、本研究は無洗米糠の飼料特性を明らかにするために、飼料成分や第一胃内消化性を測定するとともに、ヤギを供試して栄養価を求める 。 |
成果の内容・特徴 | 1. 製造法の異なる無洗米糠(W1:特殊加工仕上方式、W2:新精米仕上方式)を供試して飼料成分を測定した結果、飼料成分は製造法により異なるものの、いずれも生米糠に比べ粗脂肪含量や繊維成分含量が低く、逆にデンプン含量が高い(表1)。 2. ナイロンバック法により無洗米糠(W1、W2)の第一胃内消失率を経時的に測定した結果、無洗米糠の乾物、粗タンパク質およびデンプンの消失率は生米糠に比べ、第一胃内で急速に高まり、消失率も高く推移する(図1)。 3. アルファルファヘイキューブ(A飼料)および乾物比でアルファルファヘイキューブに無洗米糠(W1あるいはW2)を飼料中に15%となるように混合した飼料(AW1飼料、AW2飼料)を日本在来種去勢山羊にほぼ可消化養分総量(TDN)維持量の1.1倍となるように給与して無洗米糠の栄養価を外挿法により推定した。その結果、W1、W2の順に乾物当たりのTDNは96.9%、93.9%、可消化エネルギーは17.84MJ/kg、17.60MJ/kg、代謝エネルギーは15.42MJ/kg、15.25MJ/kgと求められ、無洗米糠は生米糠や白酒糠と同程度の栄養価を有する高エネルギー飼料である(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 2001年度では1万トン程度の無洗米糠が産出していると推定されるが、無洗米生産量は急速に伸びており、無洗米糠の大幅な産出量の増加が見込めることから、新たな高エネルギー飼料として有望である。 2. 無洗米糠を多量に給与すると第一胃内で急激な発酵を生じる可能性がある。 3. 無洗米糠は製造法により飼料成分が異なる可能性があることから、より適正な飼料設計を行うためには予め飼料分析センターなどで飼料成分を求めることが望ましい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | アルファルファ 加工 飼料設計 肉牛 乳牛 山羊 |