搾乳牛の集約放牧における窒素収支推定モデル

タイトル 搾乳牛の集約放牧における窒素収支推定モデル
担当機関 (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2001~2003
研究担当者 中神弘詞
高橋繁男
坂上清一
板野志郎
発行年度 2002
要約 集約放牧における乳生産量と土壌中の窒素収支を推定するシステムモデルを作成した。施肥量や放牧強度などの入力値を変更することで、生産量や窒素収支を推定することが可能である。
キーワード 永年草地・放牧、集約放牧、生産量、草地生態、窒素、乳牛、予測モデル
背景・ねらい
搾乳牛の集約放牧は土地生産性の高い放牧技術であるが、施肥による窒素の投入に加え、草地外からの飼料に由来した窒素も草地に排泄されるため、草地に窒素が蓄積され、環境負荷が懸念される。そのため、生産性だけでなく窒素収支も考慮した管理設計が必要であるが、その指標となるデータを圃場試験で導くには多くの時間と労力を要する。そこで、シミュレーションによって集約放牧における窒素収支を推定するためのシステムモデルを作成した。
成果の内容・特徴
1.
畜産草地研究所(那須)のペレニアルライグラス主体草地で得られた結果に基づいた、集約放牧における乳生産量と土壌中の窒素収支を推定するモデルである。
2.
牧草の生長と窒素吸収の予測にはロジスティックモデルを採用し、放牧による採食で不足する分は全て補助飼料として給与されることを前提としている(表1)。
3.
モデルでは、集約放牧に使われる牧区ごとに牧草量と土壌中の窒素量が計算され、生産物と窒素の流れが1日単位で計算される(図1)。
4.
窒素収支は、溶脱、揮散等の環境負荷の指標として、草地土壌への窒素蓄積量で算出される(窒素蓄積量=施肥+排泄-植物による吸収)。
5.
既存の集約放牧試験での諸条件による推定値を実測値と比較した結果、放牧期間を通じた生産量や飼料摂取量の推定値は、年次や処理によって精度に変動はあるものの、概ね実測値を再現する(表2)。
6.
施肥量、放牧強度、気温などの入力値を変更することで、生産量や土壌中窒素収支を推定することが可能である(図2)。
成果の活用面・留意点
1.
搾乳牛の集約放牧において、窒素収支を考慮した管理設計に利用できる。
2.
土壌中の窒素蓄積量は溶脱、揮散等を考慮していないので、長期に亘るシミュレーションでは実際の値より大きくなる。
3.
モデルは市販のソフトウェア(STELLA, High Performance System, Inc.)を用いて作成されている。
図表1 226800-1.gif
図表2 226800-2.gif
図表3 226800-3.gif
図表4 226800-4.gif
カテゴリ 施肥 乳牛 放牧技術

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